わたしはGID(性同一性障害)の治療を受け現在は戸籍も希望のものとなり、いわゆる埋没、元の性別を伏せる形で普通の社会生活を送っている者です。
来歴について敢えて公言することはありませんが、親しい人には話していますし、ある程度付き合えば薄々わかるものかとも思います。恥ずかしいことをしているとは思いませんし、何がなんでも絶対に隠すというものでもありません。
しかし一般の社会生活ではまだまだ偏見もあり、そもそもさして親しくもない人に敢えて話す内容でもありませんから、できるだけ伏せて静かにやっていきたいと思っています。
先日ある信頼していた人物により、この来歴がネット上に晒されることになりました。
本人はさしたる悪意もなく、なまじ「そういう人」に対する偏見がないがために(多分ないのだと思います)、大したことでもないと思ってさらっと書いたのでしょう。
しかし公の目に触れる場でそういうことをされれば、こちらの社会生活にも影響の出かねないことなのです。
近年になってレズビアンゲイについてアウティングが問題にされることが出てきました。
レズビアンゲイの当事者が伏せて生活している性的指向を本人の意図に反して公開されてしまう事例です。
これについては、一定の層の方々なら、ある程度ことの重大さを認識されるようになってきてはいるのではないかと思います。
しかしGID当事者、特に移行を済ませて希望の性別で生活している人々に対するアウティングの問題は、あまり知られていないのではないかと思います。
場合によってはレズビアンゲイ以上の事態を引き起こしかねないことで、軽々に考えてはもらいたくないのです。
そのことを「やめて欲しい」と伝えるだけでもセカンドレイプ的な屈辱を味合わされるということを、どうか部分的にでも理解して頂きたいのです。
わたしの場合、本人に伝えたところ削除はして頂けましたが、ことの重大さはまったく伝わっていない様子でした。「ああごめんごめん」程度の反応です。
正直、最初に書かれたこと自体より、この反応の方に深く傷つけられました。彼にとってはその程度のことだったのか、と。
今現在に至っても、この人物が悪い人だとはまったく思いませんし、人として肯定的に見ています。それだけにとても悲しいです。
わたしたちは単に希望の性別で普通の人間として暮らしたいだけです。
多大な苦労の末に身体や戸籍まで変えた挙句に「トランスジェンダー」などと軽々しく言ってもらいたくはありません。
「元○○」というのが事実であり、かつ恥ずかしいことではなかったとしても、世の中はそういう風に見てくれる人ばかりではないのです。
それをビジネスにしているタレントか何かならともかく、こちらはただの一市民です。晒し者にされるいわれはありません。
つまらないことかと思われるかもわかりませんが、一当事者の声として、匿名ながら愚痴を書かせて頂きました。
泣き言のような内容で申し訳ございません。