最近、保育士や教員による子どもへの性犯罪がニュースになっているのを見て、私が子どもの頃にピアノの先生にされていたことも性犯罪だったんだと今更ながら気付き、胸が痛んでいる。あの頃の自分を助けてあげたい。
もう30年くらい昔、小学校2年のとき、私は千葉から神奈川に引っ越した。それまでもヤマハでピアノを習っていたので、引っ越し先でもヤマハでピアノを習うことにした。先生は30代くらいの男性でやや長髪、メガネでヒゲを生やし、小太りでスーツを着ていた。はじめは普通のピアノレッスンだった。週に一度、個室で30分間、先生とマンツーマンで指導を受ける。部屋は防音で小さい窓が付いているが、掲示で隠されていた。それはどの部屋もそうだったので特に不思議に思わなかった。
数ヶ月経ったある日、レッスンでいくつかミスをした私に「身体をほぐす体操をしよう」と先生は言った。ピアノの前に立って、上半身を前に倒すように言われた。ラジオ体操にあるような前屈だ。そのとき私はスカートを履いていた。先生は私の背後に居たので、何をしていたか見えなかった。先生は前に下ろした私の両腕をブラブラ振るように言った。それを数回繰り返した後、いつものレッスンに戻った。最初はその程度だったので、本当に身体をほぐすためのただの体操だと思っていた。
その後、3回に1回くらいの割合で例の体操をさせられた。上半身を前に倒すのは変わらないが、時には先生が私の後ろにしゃがみ、私の両足の間から手を伸ばし、私の両腕をつかんでブラブラ振るというパターンもあった。今思えば完全にパンツを見られていたと思う。ある時はピアノの前に立ち、両手の親指だけ鍵盤につくように指示され、先生が私を背後から抱き上げて、親指に体重をかけさせるという、よくわからない行為もあった。いくつかバリエーションがあった。
これくらいになると、いくら8歳の私でも何かおかしいことをされていると理解していたが、親には言えず、ピアノに行くのが嫌でたまらなくなった。私の私服はほぼスカートのみだったので、なかなか防御することが難しく、せめてもの抵抗としてブルマを履いて行ったり、タイツを履いたりした。今思うと、自分一人で何とかしようと思っていたのだと思う。
ピアノに対して全く意欲がなくなった私に親は怒ったが、何度かやめたいと言ったらやめさせてくれた。その先生に習ったのは1年くらいで、しばらくして個人レッスンで女性の先生のピアノ教室を自分で見つけてきて、そこに通うことになった。
ヤマハ講師のセクハラ行為は、大人になっても記憶からすっぽり抜け落ちていたのだが、昨年引っ越しをしたときに、ヤマハの発表会の写真が出てきたのと、教員による子どもへの性犯罪ニュースがきっかけで思い出した。
今更親に言っても、罪悪感を抱かせるだけだから言えないし、夫にも言う気は無いけれど、ものすごくモヤモヤして、苛立ってしまうときがあるので、こうしてはてなに書いてみた。被害を受けたときはダメージがなくても、30年経ってからダメージを受けることもあるんだと自分でも驚いている。ヤマハ講師以外にも、丁寧に思い返せば、小学校や中学校、塾でも危うい行為をしていた教員はいた。
例えば小6の頃、女子生徒の太ももをパチパチ叩く先生がいた。ある大人びた女子生徒が、エッチーと言ったら、先生はその女子生徒と一言も口をきかなくなった(あなたとは二度と口を聞かないとみんなの前で宣言していた)。その先生は今は地元小学校の校長になっている。
思い出してしまったことをどう処理したらいいか分からないまま、性犯罪のニュースを見るたびに思い出してしまうんだと思う。同じように苦しんでる人が多くいるんだろうと思うとぞっとしてしまう。