夫は具沢山の味噌汁が好きだ。それからわかりやすいメインディッシュが好きだ。
青椒肉絲みたいに、肉(あるいは魚)が細切れになっているものを出されると、(どんなに大量に出しても)夫の中では小鉢扱いらしい。
そういうことを、頭ではわかっているのに、ぼんやりしているとうっかり出してしまう。
わたしは具の量なんてわりとどうでもいいし、理由は自分でも分かりかねているけど(口を大きく開けたくないから? 火が通りやすいから??)、具材を小さめに切ってしまう癖がある。
だから、意識していないと、豆腐とわかめとねぎだけの味噌汁とか、牛肉を細切れにして野菜と炒めたものとか、そういったものを出してしまう。そして怒られる。
味噌汁、豆腐とわかめとねぎが入っていれば十分だと思うんだけど、夫には少なく感じられるらしくて、大根も人参も入っていないのは信じられない、というようなことを言う。ごめん夫。悪気はないんだ。
仕事から疲れて帰ってきて夕食に自分の好みのものではないものが出ていたら、そりゃまあ嫌な気持ちになるだろう。
わたしと夫の食の好みは正反対ではあるが、できるだけ夫の好みに寄せるようにしている。
けれど、けっこうな頻度で、上記のような、夫の好まないものを出してしまう。ちょっと予定が立て込んで時間がないときや疲れているときとか。
どうしてだろう。
悪意はないんだけどつい忘れてしまう。
(仕事をやめて久しいので(現在夫の帯同で海外移住2年目、就労ビザ取れず専業主婦)、ミスしたときに二度とミスしないようにする方法を忘れてしまった。
台所に夫の好みを貼っておけばいいのだろうか。あるいはリマインダーで食事を作る時間の少し前に夫の好みをポップアップするようにすればいいのか。)
もしかしたら無意識下では夫のことを憎んでいてちまちまといやがらせしているという可能性もなくはないがないと信じたい。
思うに、たぶんわたし自身が家事を些末なものだと思っているからではないだろうか。
たとえばこれが料理ではなくて予算1億の大プロジェクトとかそんな感じの何かだったら、そもそもぼんやり成果物を作るということはないだろう。
働いていたときは、口にこそ出さないものの、専業主婦は暇そう、とか、楽でいいな、とか思っていた。
そして実際に、時間はたっぷりあり、身体的には楽だ。子どもがいないのでめちゃくちゃ自分のために時間が使える。
そのかわり、誇れるものが何もない。いくつかやっていることはあるがすべてが趣味の域を出ない。肉体的にはとても楽だが精神的にはとてもつらい。インスタとかに出てくるスーパー専業主婦のみなさんほんとすごい。
(環境に)恵まれていることと幸せであることは違うんだなとつくづく感じている。
夫のことは好きだし尊敬している、感謝もしている。毎日仕事する大変さ、わたしは数年前に辞めてしまったから言うのはちょっと憚られるけど、ほんとうにえらいと思う。
一体どうやったら、自分の中でもっと家事の価値を高くできるんだろう。
もっと早く気づけばよかった。ごめん夫。
冷蔵庫に紙に書いて貼って置いたら まー人は自分の好み以外はあんまり覚えられないもんだよ
お疲れ様です 昭和っぽい食卓が好みなのだろうね。お爺さんと思って接したらどうだろう