2016-03-12

数学が得意」と「好き」の違い

高校物理先生で、定期試験で難しい試験を出すことで有名な先生がいた。

めちゃくちゃ難しいといっても、中堅~地方帝大の入試問題あたりを出してたんだと記憶しているが、うちの高校レベルだと、教科書をなぞっただけの俺たちは平均点が1020点だった。

0点すら何人もいた。

60点以下は追試。

当然、全員追試になる。

試験のたびに解説放課後を使って追試の繰り返し。

運動部に属していようが、大会が近かろうが、問答無用

追試は時間制限

解き終えて提出するまで、何時になろうが返してくれない。

解き終わった順に、持っていき、その場で採点。翌日も地獄に付き合わされるかの審判を待つ。

成績は、試験の点数ではなくて、何回目の追試で受かったかで決まるような感じだった。

授業スタイル特殊で、ノートを取らせない。

ノートを取る生徒に

ノートなんか取るな!俺の話をきけー!」

という具合。

自転車の乗り方を覚えるように、カラダで受験レベル問題を叩き込まれた。

こんな授業をすべての科目でやれば、生徒の成績は上がると思う。

ちゃんとわかるまで解説をするスキルまで揃っていたあの先生からこそでだと思うし、ほかの教師では定期試験後1か月近くずっと夜22時まで付き合い続けるパワーもないだろう。

不思議と慕われていた。

そうでなければ、大会が近い運動部は逃げ出していただろう。

そんなわけで、地方の中堅高校にも関わらず、我が校の物理選択者の成績は非常によかった。

彼こそ、予備校カリスマ教師にも負けない、スーパー教師だったと思う。

ところで、俺の古くから親友は、その定期試験で常に80点以上を叩き出していた。

成績一位は当然彼で初回試験の点数は80~90点、二位でさえ40点代、追試免除は彼一人という快挙を毎回成し遂げていた。

「才能」

にあふれていた。

風変りな生徒だったとは思う。

ノートを持ってない。

教科書に書いてあることをノートに書き写す必要はないじゃんというし、例題を解くときには計算必要ときは要らないプリントの後ろを使って、解き終えたら捨てる。

解説を聞くとき

「俺、手を動かしながら聞くっていう器用なこと出来ないもん」

と言ってノートはとらない。

その教師に言われてそうしたわけではなく、昔からそうだった。

一番に驚愕偏差値を叩き出していたのは物理だったが、東大模試東工大模試などを受けると、数学でも同じように驚愕偏差値を出していた。

(といっても、全国一位ではなかったので、模試の全国一位というのはいったいどんな化け物なのかと思う)

どうしてそんな偏差値だせるんだ?

と聞くと

「迷わずに一気に反射神経だけで解き続けると、時間内に完答できるよ。"とことんぷぷよ"みたいな感じで」

というこれまた微妙にズレた答えが返ってきたのが懐かしい。

物理数学教師たちは、彼に理学部を熱心に勧めたが、

理論に興味ないし、就職に有利そう」

という理由で、大学工学部に進学した。

進学先でもやはり博士課程後期まで勧められていたが、普通に就職した。

あれをみたら、誰でも

「お前は才能がある!その才能を学術分野で活かせ!」

と言いたくなるのだと思う。

でも、彼にとって、難しい問題の解決は、ぷよぷよテトリスをするように、ただただ作業しかないのだ。

今でも、どんな仕事をしているのかと聞くと、楽しい話を聞かせてくれる。

無理ゲーともいえる無茶な仕事だと思うんだが、専門外の俺にもわかるたとえ話で説明できるということは、その問題も彼にとっては、テトリスぷよぷよくらいに簡単なことなんだろう。

  • すごいできる奴って大物にならないイメージ。 ノーベル物理学賞受賞者って優等生というより、微妙に劣等生寄りだったりするし。 (もちろん、一般人レベルで言えば普通に優秀なんだ...

  • 続き なにかの拍子に 「数学とか物理が1番簡単じゃん。1番教科書薄いんだから。社会科の科目とかって字も細かいし、多いし、まとまってないし、」 と言ってたことがある。 彼にとっ...

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