http://biz-journal.jp/2016/03/post_14149_2.html
甘利を擁護する目的はないけど、この件については当初のテレ東報道にもちょっと問題あるし、Business Journalの上田眞実さんの記事はハッキリ言ってクソ記事だよ。はてブに上田さんへの懐疑がほとんどないのに、ドン引きしてる。
スラップと呼ばれている訴訟は東京地裁平成23年(ワ)29923号事件。「判例時報」2180号65頁。おっきな図書館なんかには置いてあるので読んでみてください。
③被告の手続コストや第三者への威嚇など、請求の認容以外の不当な目的があること
の全てを満たす訴訟のみを「スラップ訴訟」と呼ぶべきだと思う。②にあてはまらない=法的には賠償義務があるような事案で、訴訟をおこすこと自体に文句をつけるのは、ただの居直りじゃん。
上田記事のクソなところは、テレ東が当初どんな報道をしたのか、そこにはどんな誤りがあったのか/なかったのか、甘利氏は報道のどこがどうおかしいと文句をつけたのか、裁判所はテレ東のどんな行為について「名誉棄損」と認定して330万円の支払いを命じたのか、という点についての説明がほんとうにほんとうに杜撰だということ。「取材拒否の空席を映したら名誉毀損」とか、いくらなんでもそんな主張を裁判官が認めるわけないし、そんな判決が出たとしたらテレ東が控訴しないわけないでしょ。そこが杜撰だから、上のスラップの条件②にあてはまるのかあてはまらないのかを読者がきちんと考えられない。
①テレ東の報道を見た人は「平成18年には津波で電源を喪失する危険性を指摘する吉井質問主意書が出されていたのに、甘利は津波での電源喪失の危険性を認識してなくて、そのうえ危険性の指摘があったことを示す資料を見せられたら取材を中断して逃げ出した」と感じる。
②でも、質問主意書には「津波で電源を失う危険性」の指摘はない。ここは事実に反する。
③テレ東はそれを認識していながら,敢えて「津波」との語句を追加した。
ってものなんだよ。この判決に対して、その認定はおかしいんじゃないか、とか、政治家対報道機関なんだから訂正報道したなら十分なんじゃない、330万って損害額は高すぎるんじゃない、とかいう批判はするべきだと思う。でも上田記事を読むと、まるで「テレ東が、甘利が取材拒否したことの象徴として空席になった自分の椅子を映したから、東京地裁330万円の賠償を命じた」みたいな印象になっちゃう。
それは全然違うでしょ。