2015-11-07

ジェネリックの話

http://b.hatena.ne.jp/entry/www3.nhk.or.jp/news/html/20151106/k10010296571000.html

話題になっていたので、とりとめなく書いてみる。

メーカーが違えば試薬は別物

これは大学化学実験をすれば教えられてると思う。

実際に自分実験すればよくわかることだけど

A+B→C

で反応させてCだけ取れました、なんてことはありえない。

反応しなかったAやB、AやBに含まれていた不純物、反応の副生成物、反応に使った溶媒溶媒に含まれている不純物、反応容器の成分、容器についていた不純物、精製過程での混入物、Cからの分解物……

例えばCの純度が98%以上という試薬でも、蒸留したのか、クロマトで分離したのか、再結晶までしたのかでまったく別物になる。

最近分析機器の感度も良いので、メーカーの違いがはっきり見えることが多い。

さらには、同じメーカでもロットが変われば中身が違ってくることもあるし、梅雨時期に製造されたのはよくないとかあるある。

ロット管理大事

メーカーブランドは別

普通は、同じと考えてよいのだけど、時々そうでないこともある。

例えばWコウとNライがそれぞれ自分ブランドで売っている試薬だけど、実際のメーカーは同じ会社下請けしていたりすることもある。

からジェネリックも一概には言えなくて、先発品と同じメーカーが作っていて、錠剤に刻印が入っていないだけという薬もある。

が、そうではないものもあるので、問題が出ることがある。

臨床試験していない

から本当は最終的な効果をきちんと比較するのが望ましいのだけど、臨床試験をするとすごい費用がかかるのでジェネリック作る意味がなくなる。

もし、自分医師だったと考えてみる。患者ジェネリック医薬品を投与したとする。

副作用が出た or 薬の効果がなかった

その場合に「あなたジェネリックを選択したのが悪かった」と言われたとき反論するデータがない。

からジェネリック医師から嫌われる。

ロット問題

薬は箱に入れて売られている。

薬局は開封していない箱を、卸会社に返品することができる。

薬が切れるたびに至急で発注しても卸が困るので、ある種の紳士協定のようなもの

ここで、通常の先発品なら大抵100錠程度が1箱に入っている。

しかジェネリックは5,000錠1箱とかよくある。

そうなると、ある人に30錠売ると残り4,970錠を薬局在庫として抱えることになる。

そうなれば、ジェネリックを強引に売るような困った薬局も出てくる。

薄利多売の在庫リスク薬局押し付けるのでジェネリックは嫌われる。

先発品もあまり高くない

ジェネリック特許切れとともに出てくることがほとんどだが、その頃には先発品の発売からだいぶ時間がたっている。

薬価時間とともに切り下げられる。

そのため、先発品メーカーはその頃にはかなり投資を回収していて、あえて売りたいわけではない状態になっていたりする。

以前話題になったアメリカ会社のように、いきなり値上げすることはできない。

混合診療禁止されている日本では、国の保険者の言い値で薬を売らない会社は、事実上商売ができない。

ここにTPPで「自由競争」が入ってくれば薬代は劇的に跳ね上がるだろう。

もっと厳しい話題

日本では皆保険があるため、先発品でもジェネリックでも、たいていの人は自由に選べる。

だが、発展途上国では先発品を買えない人が大勢いる。

たとえ、ジェネリック臨床試験をサボってそのリスク患者押し付けていたとしても薬が無いより良いのではないか。

実際、途上国ではジェネリックですらない偽薬が大問題に。

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