2015-09-23

まれ アナザーストーリー

朝ドラの「まれ」を見ているのですが、なんかいらいらするストーリー展開だったので、妄想を吐き出します。

大悟は息を吐いた。

完璧だ。おれのパティシエ人生は」

自分にいつも文句皮肉しか言ってこなかった倅の大輔が希とひっついたのが始まりだった。大輔と希が結婚した後、希を2年間の前提でフランス修行に出した。

「俺、嫁さんとフランスに行くわ。やっぱ、新婚が離れるのはよくないでしょ。で、ついでにむこうでMBAとってくるわ。」とあっさり、大輔もフランスに発っていった。

フランスでの2年間は、パティシエの希にとてつもないものをもたらした。菓子を作る技術だけではない。センスとか感覚とか、現場でなくては学べないなにかだ。希は明らかに自分がもっていないなにかをフランスから持ち帰ってきた。大輔は帰国後、コンサルティングファーム仕事を見つけた。

大輔と希が帰国後、2年経った頃、大輔が話があると自分を呼び出してきた。マシェリ・シュ・シュの多店舗経営研究(修業)店舗の分離をしようと言ってきたのだ。そして、経営自分に任せろという。通常の店舗利益を出し、その利益研究店にぶち込むというのが大輔の構想だった。店舗を展開するための資金繰りも付いているという。

「おれ、菓子の味、わかんないから、その辺は親父と嫁さんに任せるわ。で、おれが経営をみる限りは、二度と、あんなことにはしないから。」

マシェリ・シュ・シュが倒産目前になり、自分料理巨人に出演せざる負えなかったことだ。結果的にこれはうまくいった。大輔が言うところの経営芸術の分離がうまく回っている。新しい支店浅井弥生ひとつずつ任せている。大悟の目から見れば、どっちも想像力のかけらもないパティシエだが、大悟のルセットに従い、菓子を作ることはできる。自分にはない常識的な金銭感覚もある。そして、大悟への忠実も厚い。店には大悟と希が週1-2回、顔を出している。

研究店は大悟と希の精進の場だ。大輔は明言した。「この店、親父のためのもんじゃないから。嫁さんを世界一パティシエにするためのもんだから。」それでも、菓子のことだけを考えればいいこの店は大悟にとって理想郷のような場所だ。この研究店では、材料費はほぼ青天井。新しい機材もどんどん使う。仕込みに時間もかける。希と一緒に思いついたルセットを作り、客に出す。ダメなら、また作る、客に出す。その結果、一切れの菓子が3000円になることもある。それでも、客が来てくれる。海外からも、どこからか聞きつけて来る。

この研究店では、時には夜中の1時、2時まで希といっしょに菓子を作ることもある。外に出た陶子も休日には顔を出し、新しい技術、味を持ち込んでくる。そして、盗んでいく。大悟は60を過ぎた。この場所で希と菓子を作っていると、自分パティシエとしてまだやれる。世の中をあっと言わすルセットを作れる。そんな自信があふれてくる。

店舗展開研究店が軌道に乗った頃、希が妊娠出産した。男の子女の子双子だ。希は出産後、半年で店に復帰した。「パティシエの勘がぼける。」がその理由だった。ためらいはまったくなかった。大悟は希が出産後、母になることを優先するのではないかと恐れた。ヒトは多くのことはできない。それが大悟の信念だ。だが、希については杞憂だった。この義理の娘は自分が思っていた以上に菓子神様に魅入られている。希はきっと世界一パティシエになる。自分がしてみせる。自分師匠であり、希の祖母であるベール幸枝も自分も到達できなかった場所に希はきっと行ける。大悟はそう確信している。

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