遺族補償年金の受給要件として、妻には年齢を問わないのに、夫は55歳以上と制限した地方公務員災害補償法の規定が、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するかが争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は19日、男女差の規定を合憲と判断し、違憲・無効とした1審・大阪地裁判決を取り消した。
志田博文裁判長は「夫に比べ、妻は独力で生計を維持できない可能性が高く、男女差規定には合理性がある」と述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150619-00050100-yom-soci
ちなみに1審では次のような判断がなされた。
13年11月の1審判決は、共働き世帯が専業主婦世帯を上回るなど社会情勢の変化を重視。「性別で受給権を分けるのは不合理で差別的取り扱い」とし、男女差規定を初めて違憲とした。
遺族補償年金制度は、志田博文裁判長の言葉を借りると「働き手を亡くした利益の喪失を補い、遺族の生活を保護するのが目的」の制度である。
現在の法律では、遺族補償年金が受け取れるかどうかは年齢と性別によって次のように区分されている。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
〜54歳 | × | ○ |
55〜59歳 | △ | ○ |
60歳〜 | ○ | ○ |
ここで訴えを起こしているのは、当時51歳で自身は会社員として妻は中学校教諭として、共働きで生計を立てていたが、妻が亡くなってしまった男性。当事者の収入は明かされていない。
ここで注目すべきは「規則で男性は55歳以上でないと受給できない」として却下されたこと。
収入が十分にあるという理由で不支給になるのは分かるが、はなから性別で不当に差別されていることが問題である。
対して志田博文裁判長は、次の理由で「今日の社会情勢でも、妻は年齢を問わず独力で生計を維持するのは困難で、男女の受給要件を区別した規定は憲法に違反しない」と結論している。
とんでもない。非正規雇用や働いていない女性が「多い」というだけで、男性にも非正規雇用は存在する。ここで鑑みている「社会情勢」はあくまで平均値のことであって、個別に判断すべきことではないか。
上告で正しい判断に覆ることを祈る。
「社会情勢」を理由とするなら高裁の方が正しい判断だし その人の個別の状況を理由とするなら会社員なら食えるだろ?と思うし 性別で決めるのではなく収入制限を設けるとかが一番...
そもそもの訴えの論点が「地方公務員災害補償法の規定が、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するかが争われた」となっているから「社会情勢」を理由に足切りするのはおかしい...