会社に休む時にやたらと『親戚の葬儀があるんで』を使う同僚がいる。
うちの会社が有給申請の理由にやたらとケチをつける癖に、冠婚葬祭に関してただけは空気を読もうとしてくるのが原因なのかもしれない。
今たしかにそこにある高熱よりも、非実在かも知れない親戚の死。
しかし彼に関してだけは正常が異常に変わる。
あるときだったか、飲み会をサボる時にすら「今日はこれから通夜があるんで」と言って私達の元を去っていった。
彼にとって親戚の死は凄い軽い。
なにせ彼が今まで「祖母の葬儀が」と述べた回数を合わせると10回に及ぶらしいのだから。
曾祖母が奇跡的に全員少し前まで存命だったとしても2+4で6人にしかならない。
彼のひいひいお婆ちゃんのうち半数が彼の入社時にはまだ生きていた可能性もなくはないが、
それならば今度は「祖母」と一括りに表現するぞんざいさが人としてありえない。
その事について一度彼に質問してみた事がある。
私「お婆さんが死んだって事にして休んだ回数多すぎませんか?」
彼「あー、うち家系図が凄い不雑なんですよ」
私「それにしたって多すぎでしょ」
彼「いいじゃないですか別に」
私「いいじゃないですかって、人の死を軽んじるような言い方は」
彼「まあまあ、どうせ実在しないんですから問題ないでしょう?」
私「実在しないんですか?」
彼「そうですよ。僕の祖母なんて最初からいないし、僕自身も最初からいないんですから」
私「えっ?」
彼「だってこれは貴女自身が書いてる釣りじゃないですか。最初から存在しない人をでっち上げて適当にブコメが集まればいいなっていう釣り増田ですよ」
彼「あなたも最初の内は釣りなんてする人じゃなかった。普通に増田を書いてても三桁ブクマを行ける程度には、内面に悪いものが溜まっていましからね」
彼「増田で伸びるのって、クズへのリンチ、傷の舐め合い、そういった負の感情が累積している物ばかりですからね」
彼「ここに来たばかりの頃はあなたにもそういった悪い話題の『弾』が沢山あった」
彼「でもすぐにその『弾』はなくなってしまい。今では気まぐれに長文を打っても0ブクマ、喧嘩を売っても0トラバだ」
彼「その上何の迷いか始めてみたブログは数ヶ月たっても週のヒット数が今まで一番伸びたブクマ数にも届かないと来てる」
彼「ヒット数がブクマの数に負ける。屈辱でしか無いですよ。昔の自分に今の自分がコテンパンにやらちまったんですから」
彼「そうして釣りを書こうとしてみた」
彼「でも結果がこれですよ」
彼「ナンデスカコレ?」
彼「でっち上げるにしてももう少し不特定多数の義憤を誘えそうなネタもあったでしょうに」
彼「本当何がしたかったんでしょうね」
彼「まあいいや、これぐらいにして僕は消えましょう」
彼「最初から存在しなかった癖に、ずいぶんと長くしゃべり過ぎた」
彼「釣りってのはもっとスマートに行かないとイケませんかね。とはいえこれはもう釣りでもなんでもありやせんがね」
彼「みなさん。婆さんは大切にするんですぜ。いやいや、あなた方のご母堂の事を言ってるんですよ。既に高齢者か、もうすぐって所でしょう?大事にしておやんなさいな」