実は間違った読み方の日本語
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1043432
これは教えてgooで「間違った読み方の例教えて」って質問の回答をまとめたものなんだけど、常識的にとらえるとこの記事の書き手が「釣り」を半ば意図していることは疑うべくもない。
それには、なぜこんなよくある量産型の中身のないまとめを作成したのかを想像してみるとよい。
そうすると、「興味があったから」「なんらかの経由で報酬を得ているから」「ただの暇つぶし」などでは致命的矛盾に逢着してしまうことが分かるであろう。
そう、「興味があったから」「なんらかの経由で報酬を得ているから」「ただの暇つぶし」などではなく、この書き手は明らかに「釣り」を意図している。
「釣り」というと悪意で他者を陥れるイメージを持っている人もいるかもしれないが、釣りもまた「暇つぶし」であったり「構ってほしいだけ」であったりする。
プロの釣り鑑定人の俺からすれば、この書き手に悪意はみじんも認められない。
悪意があるならもっと二重三重に入り組んだ仕掛けを凝らすはずで、この書き手にはそれを実行できるだけの最低限の文章構成力もあると考えられるからだ。
また、「釣り」は本人もあまり意識していないこともある。この記事もそのパターンかもしれない。というのも、釣りにしてはあまりに中途半端であるからだ。
まあ、ツイッター民に大反響なところをみるかぎりは「釣り」に大成功しているといえるわけだが、それは「ふいんき」ネタのくだりにほとんど集約されてしまっている。
たしかに「ふいんき」ネタへのマジレス部分は実に熱い釣りと言えるのだが、そこから急速にトーンダウンしてしまっている。
これには釣ろうとしたけど熱意が冷めてしまったという線もないではないが、その後の文章量がわりとあることからこの線はまずないと思う。
それよりは、半ば「釣り」を意図して気まぐれに書き始めてみたけど、疲労などの要因でトーンダウンして普通の調子に戻ってしまいそのまま書き進めた。
本記事の場合、そう考えるほうが、明確に「釣り」を意図して書いたとするよりも妥当であろう。
たとえば、人に興味を持ってもらおうと「誇張」して書く行為は「釣り」と紙一重であるし、あるいはまた、ウケを狙って書いた「ネタ」が「釣り」と誤認されるケースもありうる。
反対に、「釣り」として意図したものがただの「誇張」とかなにかの「ネタ」として柔らかく受け止められてしまう場合もよくみられる。
こうしたコミュニケーションギャップはネットのようなジェネレーションギャップが多発し真意をつかみづらい場では散見される。
「ふいんきと間違って読んでいる人も多いようです」という記事の記述に対して、「ふいんきはネタっしょ」「ネタにマジレスかこわるい」と言っている人が複数名いた。
まず再確認しておくが、この記事の書き手は「ネタにマジレス」という体で「釣り」をやっているわけで、決して「マジレス」しているのとは違う。(そのことを主張するためにわざわざ論証まで繰り広げた。)
それを「マジレス」扱いしたうえで自身もそれに「マジレス」しているわけだよねこの人たちは。つまり、釣りをマジレスと思ってマジレスしている。
これが「釣り」を不快に思ったり逆に面白いと思ったりした人が便乗して「マジレスのフリ」をするという「釣り」や「ネタ」を繰り広げたのなら俺は高く評価する。
だが残念ながらこの人たちはそのような高等戦術を用いているわけではない。(その論証は割愛する)
結局のところ、「ネタにマジレス」と非難している当の本人が「釣りにマジレス」しているのだから世話はない。
ここで安易な「マジレス」扱いにも警鐘を鳴らしておくべきだろう。
先ほど、釣りをネタや誇張と混同してしまう罠を紹介したが、場合によってはそうした罠にハマった人間はおろかに見えるだろう。
それと同様に、「マジレス」ではないものを「マジレス」と誤認したり、「マジレス」を「マジレス」ではないものと誤認したりするのも、いささか滑稽なピエロである。
ツイッター民の「ネタにマジレス」発言も、マジレスではないものをマジレス扱いする罠に見事にはまっている。
他の例をあげると、「ボケ」に対する「ツッコミ」を「ネタにマジレス」と誤認するケースも非常に多くみられる。
現実社会においても浅慮な人々によって両者は混同されることが多いのに、いわんやネットにおいてをや。
いやはや恐ろしい罠である。貴方の身の回りを見渡してご覧なさい。人間ちょっとしたことで喧嘩をしてしまうものだ。
ネット社会に生きる現代人は、本当にそれはマジレスなのか、本当にそれはマジレスではないものなのかをよく吟味しなければならない。