2024-03-20

我が家安楽死渇望事情

 若い世代がどうして安楽死を求めるかといえば、それはもう自分死ぬめしかない。

 多くの人間が考えている。自殺はなかなか出来ない。だから事故とか災害とか、あるいは事件唐突に死なないか毎日のように望んでいる。そうすれば「自殺した馬鹿野郎」でなく「社会のために生きて死んだ立派な人」になれる。

 逆説、今の社会死ねるのはその苦しみを乗り越えた勇気正義感のある者しかいない。自分の弟はその一人だった。

 彼がどんな人間かと言えば、簡単に言うと頭のいい、賢い人間だった。地頭を生かして国立工学部を現役で卒業していた。ただ就職は上手くいかなかったようで、30手前にもなって小さい企業年収400だか500万(詳しくは忘れた)の平社員をしていた。結婚はおろか彼女も作らず、友人とゲームに興じていたらしい。遺品はゲームハードソフトの山だった。

 まぁ、今時の巷の言葉では弱者男性だとかジャップオスとか言われる手合い。即ち、現代日本においてもっとも蔑まれるべき命であった。だから死んだ。彼は賢かった。動機かに対しては色々な情報が断片的にしか得られなかったし、妹とも「世の中が悪い」みたいな形で合意したけど、その断片的な情報から自分は「世の中のニーズに応えた」が本質的なところだと思った。

 しかし、遺体と対面した瞬間に自分が(悲しいけどこれで少しは世の中が良くなったかな)と思った脇で、妹は泣くどころか呼吸困難に陥っていた。父親陰謀論みたいなのは一切信じない人間だったはずが、一時は「誰かが裏にいるに違いない」みたいな思考に陥っていた時期もあった。親から見ればあれでも死ぬ要素のない真人間に見えたようで。ともあれ、それが無くとも金銭的にも色々と飛んだ。とにかく家族が大ダメージを受けた。

 ひどくない?せっかく世間要望を受けて死んでくれたのに、世間的には「勝手に死んだだけ」みたいな扱いをされて、遺族だけが一方的ダメージ食らって終わっているの。いやまぁ、わかる。彼は有害人間の中でもまだ無害(?)な人間だったから。世間に対する害が顕在化する前に予防策をとったとも言える。だから、繰り返しになるが彼は賢かった。でもこれでは駄目だ。もっと彼より愚かな、救いようのない人間に死んで貰わないと世の中は良くならない。頼むから彼よりもダメな人たちは、早く後を追ってほしい。

 これは自分にも言い聞かせている言葉だ。本当であれば今すぐにでも死なねばならない。リーマン後の地獄就活の末に今の給料は彼よりも下かせいぜい同程度。若いときに色々あって女性恐怖症なので子孫も望めない。この世から去る理由無限にあるけど、残るべき理由など一切ない。実際のところ、彼より先に自分が実行すべきだったのだけど、順番が入れ替わったせいで出来なくなった。だから余計に問題悪化した。無理でしょ。これで自分も同じ事やったら、妹が呼吸困難どころかマジで命を落としかねない。

 だから安楽死制度必要なんだ。本当はそれで今頃は自分と弟が穏便にこの世を去っているのが理想だった。老人や障害者が追いやられる懸念はわかる。なら簡単な話で、50以下の健康な男とでも限定すればいい。とにかく、死にたい若者簡単死ねるようでなければ一向に世の中は良くならない。そもそも、みんな人の命に対して無責任すぎる。この社会からいなくなって欲しい。けど、社会の為に死んでもらった扱いにはしたくない。あくま自己責任。そんな生かさぬよう殺さぬよう、では駄目だ。みんなで責任を持って、しっかり死ぬシステムを構築しなければ。

 これから自分安楽死を求め続ける。自分のために、自分の死を願う世の中のために。うかうかしていると40、50と年を重ねて、どんどん死ねない環境になってしまう。安楽死賛同をし続ける一方で、自分自身でも早く死ぬ算段を完成させねば。おい聞いているか自分と同世代やそれより若い駄目人間共。みんなもちゃんと準備しとけよ。わかったか

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