2020-10-29

なんちゃってコンサル」が蔓延ってしまう仕組み

ここでいうコンサル大手コンサルファームでもなければ、ITコンサルでもなく、〇〇弁護士事務所みたいな企業再生を手掛ける法律コンサルでもない

町の中小零細企業相手にした経営コンサルタントだ 地方都市には元銀行員だったり大手企業ドロップアウト系の個人コンサルがわらわらと居る

社長に対し何か提案するわけでもなく、毒にも薬にもならないようなことだけを言ってフィーだけを受け取っていく彼ら

この手のなんちゃってコンサルたちが生き残っていられる理由は何なのだろうと常々私は考えてきた

まず最初に思いついたのは「税理士が果たすべき仕事果たしていない」ということだ

大抵の場合中小企業担当税理士税務署上がりで税務申告だけに特化した税理士だ 当然財務経営アドバイスなどするはずもない

税理士相談出来ないかコンサル相談する、ただだからといってなんちゃってコンサルに金を払って相談をする理由としては弱い

次に思いついたのが「銀行員が果たすべき仕事果たしていない」ということだった

最近になって地方金融機関は「担保に頼らない融資」だの「決算書数字だけにとらわれない事業性の評価」だのと打ち出してきているが、ちゃん機能しているところを見たことがない

社長を捕まえて1~2時間質問した程度で事業性の評価など出来るわけもない 本腰入れてやろうと思えば、担当の1社に1週間くらい常駐するくらいのことが必要だろう

ところが銀行は「今月1ヶ月で各自最低10社の事業分析をすること」なんてノルマを課して、事業評価を「手段」ではなく「目的」としてしまっているので論外である

ただ銀行員相談出来ないからといってやはりなんちゃってコンサル相談する意義はどこにも見当たらない

そういった疑問をずっと抱いていたのだが、先日地元活動するコンサル2人と話をして、自分の中でようやく答えを見つけることが出来た、ように思う

まず最初に会ったのがコンサルのAさん 東大を出て大手メーカー入社し数年して退社 「地元地方創生の手助けをしたい」という高尚な目的コンサルとなったらしい

ただ地方自治体はリスクをとりたがらないのでそれなりに実績のあるコンサルしか外注を出さない まずは実績を積むため、中小企業経営支援を行っているらしい

Aさんの話はすごく分かりやすく、分析資料も凄く丁寧に出来ている ただクライアントとの契約が長続きしない

Aさんはクライアント社長に対して遠慮なくズバズバ厳しいことをいうので、恐らくそれが契約が長続きしない理由なのかなと自分なりに察した

次に会ったのがコンサルのBさん この人は外資系生保セールスマンとして節税目的保険等を売っていたのだが、そのときに築いた社長人脈を活かしてコンサルをしている

BさんはAさんと違って時間をかけて分析資料等を作ったりはしないらしい ただ生保セールスマンだけあってトークスキルは抜群だった

私は名前を伏せてAさんの話をし、なぜ契約が長続きをしないのかを訊ねた ここになんちゃってコンサルが生き延びていられる理由があると思ったからだ

「例えるなら企業人間経営コンサル医者なんですよ そりゃごく一部には外科的手術が必要企業もある でも大半は軽い風邪とかそんなものなんです

 ひょっとしたら風邪ですらないかもしれない 長く生きていれば朝起きて頭痛がしたり体がだるかったりとかそういうことだってあるでしょう

 それを医師相談して“じゃあMRI検査しましょう”とか“すぐに精密検査を受けてください”って言われたらどう思います

 彼らが求めているのはそういうことじゃない 話を聞いてとりあえず適当な薬を出してさえくれればそれでいいんですよ」

この話を聞いて私はようやく理解出来た なんちゃってコンサルなんちゃってコンサルとして存在していられるのはクライアントが望んだ結果なのだ

提案もしなければ提言もしない、財務分析SWOT分析もしない、適当雑談しながら適当相談出来る相手、それがなんちゃってコンサル存在意義なのだ

新型コロナの影響で中小企業が苦しむ中、国は地方中小企業を救うべく色々な予算を組んで、そして助成金を出すのだろう

予算だけつけられても県や市に中小企業を救うノウハウを持った人間はいない

そうなると県や市はなんちゃってコンサル外注し、予算無駄遣いされていく

ただそのような状況を作り出してしまった原因の一部は中小企業社長たちにある

Bさんがいうところの外科的手術が必要なのは中小企業ではなく、こんな構造を作り出してしまった日本という国自体なのではないか

しかしまあ残念ながら国会には「なんちゃって政治家しかいないので期待するだけ無駄な話である

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