2023-05-17

創作者は「創作しないクリエイター」によって潰される

生成AI現在社会システム考慮していない技術なのでいろいろと議論すべき点はある。

あるんだが…こと創作活動に関しては気がかりな点などほぼないと思える。

というのも知られている通り生成AIは平均点を出す天才であり、雑に仕事を投げてもありふれたクオリティ仕事しかしないからだ。

生成AI創作的な絵を描こうと思ったら「こういう効果をここで使って、ここではこういう風にして…」と異常に細かい注文をしなくてはならず、要は扱う側が創作性を注入するという工程必須なのである

逆に言えば創作活動の最も本質的工程は相変わらず人間がやる必要があり、人間から創作活動を奪ったりはしていないと言えるのである

とはいえ創作性の注入されていない絵をもって絵師として活動する、「創作しないクリエイター」が大量に現れたのは事実である

翻って、今議論が白熱しているイラスト界隈はこれまでどういう文化を築いてきたか

イラスト界隈を語る上で外せないのは、圧倒的な著作権軽視の風潮がその土壌にあるということである

これは大衆文化はどこでもそうなるのでイラストだけ極端に治安が悪いということでもないのだが、とにかく著作権を何とも思っていない。

二次創作者だけでなく消費者一次創作者までもが(少なくとも表向きは)著作権を軽視していることが重要で、そういう土壌の中では己の創作性クリエイターとしてのアイデンティティと向き合う必要性がかなり低い。

だって他人の作り出したキャラクター関係性を借用して焼き直すだけで周囲から認められるのだから

こうしてイラスト界隈には絵は描けるが創作という観点ではほぼ何もしてない、「創作しないクリエイター」があふれる事態になっていた。

さて、こういう背景で成立している界隈にAI絵師が現れてしまった。

創作しないなりに絵が描けることに特権意識を持っていた絵師連中はアレルギーを起こし、あの手この手理屈をこねまわして反AI活動をやりはじめた。

ところが、トップ層のクリエイターたちはAI推進を肯定したり、利用法模索する動きを見せる。

AI絵師は当然彼らにも反発する。なぜ推進するんだ。創作の場が奪われてもいいのか。クリエイター文化を失っていいのか。

なぜ推進するかと言えば、最初に述べた通りで、AIを使おうがその創作的本質利用者が握っているかである

トップ層は己の創作性と向き合ってきたから、創作AIに実のところ大した関係がないことをよくわかっている。

しか二次創作文化ぬくぬくと育ってきた絵師は違う。創作と向き合っていないので、上っ面の表現にこそ創作上の価値があると勘違いしている。

からAIが現れるとすべてが失われたような気分になる。実際は創作と呼べるような活動ほとんどしていないために、初めから何もなかっただけである

まり、もともとが「創作しないクリエイター」によって荒らされていた界隈に、またドカッと創作しないクリエイターが流れ込んできたにすぎないのだ。

なのにもともといた方の創作しないクリエイターこと反AI絵師は、AIを叩きつぶし、AIを推進したトップ絵師たちをも叩き潰さんとする勢いである。

創作者たちは「創作しないクリエイター」によって潰されるのだ。

  • ただ原作のキャラデザと文脈にのっかってエロ描きました!は、やってることとしては二次創作絵師もAIもやってること変わんないんだよな

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