ヒトラーとナチ・ドイツ、ってタイトルの通りヒトラーが政権を握り戦争に踏み込むまでをわかりやすく説明した新書読んでたんだけど、冒頭のほうはぶっちゃけ楽しかった。冴えない画家志望が敗戦した国軍に職を求めたら職場の雰囲気にあてられて筋金入りのやべーやつになっちゃったあと、同じような教義を抱えた零細団体は戦後雨後の筍のように数多くあったなかで、自身の天才的な演説や口撃手段を元に支持を増やしていき、イキって挫折し、ちょっとした幸運(この辺だいたいバイエルンの既存政治家の保身が理由というのがくっそ笑える)に助けられて生き延び、天才的宣伝家ゲッベルスなどに助けられて本格的に飛躍するという、なろうかよ的なストーリーだったし。
でも後半からいっきに怖くなった。共産党などへの武力行使はさんざん描かれてはいたものの、ピントは来てなかったけどまじかまじかって感じで。
国政の成功が共和国でいっきにすすんだ男女同権から女性を強制的に家庭に押し込めることでの失業率回復や、青年を市場労働力をボランティア()の形で制限させて代わりにマティズモ的な結束力を精神的に植え付けるという、いかにもナチスだわーって政策で、決してそれは成功でもないし賛同できねーよ!!ってのも納得した。こんなんホロコーストなくても認めちゃだめだわ。
ただ、納得いかないのが、国会議事堂が燃やされた前後、無能大統領につけ込み、合法的手段で授権法を成立させる鮮やかさで、当時の法規を隅々まで知った上じゃないとこうはならないと思うのだけど誰の補佐があったのか。
日本の政府内にいる人たちも時々口が滑ってナチスの名前を出すわけだ。全く理解できないけどそりゃ共感するよな。基本的人権なんて理解してなさそうだし、優生保護法で優生側だって絶対思ってるし。
とても読み応えがあった。