地元に帰る気はなかったし、そもそも両親からも「お前の学歴(都内有名私立大学卒・文系)だと逆に受からない。高卒の時点で就職していた方がまだよかった」と言われていた。
結婚はしておらず、今後もおそらく東京に住み続ける。両親が老いたら一時期地元に戻ろうかと思っていたが、このコロナ禍で非常に難しくなった。数年は無理だ。この間に冠婚葬祭があっても参加はできない。
さて、コロナ禍やGo To キャンペーン関連で、地方在住と思しき人からの「これまで地方を疎かにしていた報いだ」とか、「これまで差別してきた都民、ざまあ」という有象無象のコメントをよく見るようになった。「地方からの人材を奪い続けてきた」とも。
しかし、実際に「地方から出て都に出てきた」自分からすると、「奪われた身」とは全く思わない。
女だから勉強は必要ないと言われることはない。私自身は非常に運良く東京に出られたが(両親・祖父母が高等教育を受けていたので)、周囲にはどんなに私より能力があっても、「女だから」という一点で自分の住んでいる県の、非常に狭い選択肢から進学先を選ばざるを得ない人もいた。(進学自体選ばない人もいただろう)
歩いていて「私個人」を認識してくる人がとても少ない。非常に少ない。一人で歩いていても奇矯の目で見られない。
結婚もせず、現状特に恋愛に興味もない自分に対し、不躾な言葉を直接投げられることもない。
働くときも、東京では自分の学歴が枷になることはなかった。自分がそれを活かせないことは多々あったが、「うちでは重すぎる」みたいなことは言われなかった。(地元企業も親の顔を立てて数社受けた)
体調を崩したため、正社員にも、契約社員にも、派遣社員にもなった。それでも、地元の「正社員」の給料より遥かに給与が良かった。自分の能力を認めてくれるところも多かった。現在は運良く再び正社員として働いているが、おそらく地元では何もできない。
あったとしても、既に私には地元でタグが付きすぎている。〇〇さんの娘、〇歳、どこの学校出身、東京に出ていった、諸々。
そして今だと「東京からビョーキを持ってくるかもしれないやつ」という特別なものも。
東京にいたら、少なくともそれらのタグから自由でいられる。都合の良いことばかりではなく、理不尽なこともあるけど、それでも、地方の人からすると信じられないくらい高くて狭いボロボロのコンクリートの中にいるほうが、私は自由でいられる。
人材を奪われた?大概にしてほしい。
常にタグを貼り合って、相互監視が大好きな地方からは逃げ出したい人も沢山いるもいうのを、地方にはこの際知ってほしい。家族からの愛や優しさとは全く別のレイヤーで、地方はあまりにも厳しすぎるのだ。
家族は好き。実家は好きだ。でも故郷に骨を埋める気はさらさらない。憎んではいないが、ただ、無意識の相互監視が非常につらいのだ。
よくわからんけど肉屋を支持する豚か🐖