高校に入ると皆、多かれ少なかれ、高校デビューというものをする。それが「理想の高校生活」というイメージと混ざりあい、最初の3ヶ月は妙に皆テンションが高く、性格がおかしくなる。
俺はこれを俗に集団的高校デビューと呼んでいる。そして俺はこの集団的高校デビューというものに、根本的にトラウマを持ってしまった。
まず初めにいうと、俺の高校デビューは初っ端から失敗した。中学からの顔見知りが俺の事を話しのネタに使い、「こいつは下ネタ好きの変態ドインキャ」って事をバラされた。まぁこれ自体は大した話じゃない。下らない笑い話だ。
当時は斜に構えた腐った15歳だったから、高校デビューしてテンションが高い友人を薄ら笑いして見つめていた。
最悪だったのは、いや、最悪の始まりだったのは、集団的高校デビューした輩を統率する奴が居たことだった。
そいつは力が強く、常に偉そうで、周りにちょっかいをかけて声が大きくオラついてる。漂流ネットカフェの寺沢にそっくりだった。
「普通だったら」避けられるが、集団的高校デビューしている輩は一種の催眠状態なので、そう言うのに簡単についていってしまう。皆そいつが何か言えば機嫌をとり、無理して笑う。そいつに認められる為に媚び諂う。特に中学の頃からの顔見知りで俺を売った奴は、そいつのスネ夫ポジにいた。
俺はそう言うのが嫌でそいつにプチ反抗した結果、ボコされてカーストから外れた。
ピエロになった。
中学からの顔見知りや、その他取り巻きも俺の事をゴミみたいに扱った。
俺はそもそも斜に構えてたし、同じように寺沢っぽいやつを嫌って俺と交流する奴が居たから、つまらなくは無かった。寺沢はそんな俺にちょっかいを出し続けたが、正直どうでも良かった。寺沢にもまぁ憎めない所があったし。
高校生活への理想がなくなり、みんな省エネで目の前にある勉強や部活を楽しむ方向にシフトしていった。
そこに寺沢みたい奴の居場所はない。うるさくて、煩わしいリーダーを気取る奴は要らないのだ。
結果、皆そいつの事を無視し始めた。中学の顔見知りも最終的にそいつを無視し始めた。
寺沢を天辺に形成されたカーストが上下にひっくり返り、相対的に俺と寺沢が一番仲が良いと言う状況になった。
寺沢と一緒に俺にちょっかい出してた奴が、寺沢を無視する、その何というか変わり身の速さというか非情さというか
寺沢は、悪い奴では無かった。ただ俺とは相容れなかっただけだったはずなのに、その取り巻きは完全に、悪い奴だった。
結果的に寺沢を利用し、切り捨てた。権力に縋り、権力でなくなったら捨てた。
そいつの事を思い出すたびに、寺沢に対する少しのムカつきと、同情、その取り巻きの寺沢に対する仕打ち、人間のあり方に絶望する。このモヤモヤはずっと消えない
興味深い話だけど、その話をほかの人とどのくらい共有しただろうか? 他の人が見ていた「景色」について考えてみたら、物事はもう少し違って見えることはないだろうか。いや、いず...
横だが良い解釈だなあ