障害2級持ち。
アスペルガーと気付いたのは25歳の頃、それまで僕は「人と人は歩み寄り、理解し合い、助け合うものだ」という親や先生、年上の人々からの指導を信じて生きてきたつもりだったが、どうにもこうにも歩み寄りが大変だった。
何が大変なのかと言えば「歩み寄ってるの僕だけじゃね?」問題だ。
正直、僕は世間一般の考えや感覚からズレている。ズレてはいるものの他者からの「普通はこのようにするものだ」「一般的にはこう解釈される」「悪いけどお願いね」という意見があれば「納得は出来ないがココは僕が歩み寄ろう」としてきた。
ただやはりストレスなのだ。僕自身の人生経験や合理性、感性、性格、生活習慣とは違う他人の基準に合わせ続けるのは非常にストレスを得る。
稀に僕も他人へ「こうしてくれないかな?」「それはちょっと大変だからこうしたらどうだろうか?」という提案をするのだけれど、何故かそれは「一般常識」という名の壁で却下されてしまうことが往々にしてあった。
辛いな、苦しいな、大変だなとそんな日々を送って生活をしていたら僕は血を吐いて倒れた。ストレスで胃に穴が空いていた。
いや実は咳き込んたりした時たまに赤いモノが混じってたのだが、歯周病か口内炎か何かかな?くらいにしか思ってなく、まさか胃に穴が空いた兆候だとは考えずに居たら、ついに無視できないレベルで吐血してしまったのだ。
会社で血を吐いて突然倒れたものだから聞いた話によると大騒ぎとなったらしい。僕でも血を吐いて突然倒れた人を見たら驚くから無理もない。
倒れたので必然的に医者と会話をするわけだけど、その会話の中でおかしな点があったのか胃の治療のあとに心療内科へ飛ばされた。
「手が震えることはありますか?」「緊張しているとき手が震えたことありましたね」「息苦しさは?」「しょっちゅうですよ。不安を感じるとどうしてもね」
心療内科でもこんな話をして、IQ診断みたいなテストを何度か受けさせられ、結果は「アスペルガー症候群、今は自閉症スペクトラム障害というんですけどね」と診断された。
つまり僕のズレはアスペルガーが原因だったわけだ。そして周囲が僕の基準へ歩み寄らない理由もそのとき理解した。
普通の人が歩み寄れる範囲というのは、いわゆる一般常識までなのだと。それ以上の個人的な感性まではたいてい歩み寄らないんだと。
僕の感性はズレている。多くの人が持つ一般常識からは遠いところに感性がある。
多くの人が5歩で一般常識までたどり着けるのに、僕は15歩くらい掛かる。歩み寄りということで10歩10歩にはしてくれないのだと気付いた。
僕はこの社会で暮せば暮らすほど普通の人よりもどんどん疲弊していく。倫理的に考えて正しいであろう歩み寄りをすればするほど疲弊していくんだ。
僕は人間が好きだ。皆で笑い楽しみ助け合うことが好きだ。そうしろと教わってきたし、その教えは今でも正しいと思っている。
でも僕の心は身体はそれをする毎に悲鳴をあげる。僕の心が身体が悲鳴をあげることすらストレスだ。