2018-06-29

趣味の一環としてのノーンの翻訳

趣味の一環で映画字幕翻訳をしていると、どう訳せばいいのか困る例によく会う。

趣味の一環だから15文字制限とか1文字1秒とかそういうクオリティまで気にする必要はないんだけど、アニメ野良英語字幕みたいに※つけて注釈いれまくるのもなんか野暮ったい。いや実際非英語映画野良英語字幕に「※そうだよ、同じアジア人に見えるけどこのひと日本人だよ、名前でわかるだろ」(英語意訳)って書かれたの見たとき萎えた。

英語字幕英語字幕で大変なんだろうなとは「君の名は。」の入れ替わった外見滝君の一人称変化が全部"I"にしかならなかったことで気がついた人もいると思うけど、やっぱり人称と言うか人の呼び方というのはそれぞれの地域で頻繁に使われているだけに少しでも違えば違和感生じるしその違和感なるたけなくしたい。

พี่(ピー)という言葉がある。英語字幕だとMr.にすることが多いのかな。年上の人の名前の前につけて敬称として用いる。単体でも呼びかけとして用いる。状況によって訳語が変化するのは面倒なんだけれども、状況に応じてふさわしい訳語があるからそれほど迷わない。例えば学園もの映画名前付きで呼びかける際には「○○先輩」同様に単体なら「先輩」、相手がお店のおばちゃんなら「すみません」で済む。

これと対になる言葉があって、น้อง(ノーン)って言葉がある。年下の人名前の前につけて丁寧語として用いる。単体でも呼びかけとして用いる。こっちも単なる呼びかけなら簡単だ。OL若い店員を呼び止めるなら「すみません」で十分通じる。問題は学園もの映画上級生が後輩を呼ぶ際にどう訳すかだ。英語字幕ではこれ、訳す際には無視してることが多くて、単体で使う場合名前呼びに変更していることがままある。うんそれもありっちゃありなんだが、できればあんまり意訳的なやりかたはしたくない、というのが趣味の一環であるからこそのこだわりでもある。

自分の周りでは下級生のことを呼ぶ時に「〇〇後輩」っていう言い方は見たことがない。最近マンガではそういう言い方をしている人が見受けられなくもないけれども、どちらかと言うと違和感のある喋り方をするキャラセリフに多い印象もあっておそらく逆の意味意識して使わせているような気もする。名前についている場合は下級生が女性であることを考慮して「〇〇ちゃん」とした。たぶん男性なら「〇〇くん」でいいような気もするがどちらも若干幼い(相手との年が離れすぎている)印象がある。年下を意識している場面だからそれでいいのかもしれないがそこまでこだわらず「〇〇さん」でいいのかもしれない。そういえば昔のドラマとか少女漫画では年下女性にも「〇〇くん」と呼びかけている人がそれなりにいたがあれは今違和感意味で許される使用例なのか気になる。

ちゃんとした解決が着いていないのは単体で相手名前を省略しているときだ。いろいろ考えた結果、「君(きみ)」にしてみた。男性がこれ使う場面だったので、若干キザな雰囲気になったんじゃないかと思わなくもないが、ほかにいい呼びかけを思いつかなかった。勘弁していただきたい。

ちなみに英語Mr.に当たる言葉別にもう一つあって、これも単体で「あなた」という意味に使われる。だから現地で怪しい呼びかけを受ける時にはミスターミスター言われるのかと合点したが真実がそうなのかは定かではない。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん