兄もサッカーをしていたため、早い時期からボールは友達だった。
テクニックが凄かった訳ではないがボール持つ相手へのディフェンス、奪取がうまかった。そして何よりサッカーが好きだった。
小学校からは近所のクラブチームに入り高学年からは付近のチームから選抜されたチームに入った。この選抜チームが私のサッカーへの思いを変えた。
とても厳しいチームだった。練習前のリフティング、ヘディングのみのリフティングで一定距離を踏破しないと練習には参加できず晒し者となった。(すぐに出来るようなレベルに達するが)
試合の内容が悪いと激しい叱責を受けた。特に同学年のエース3人はしばしば殴られ蹴られていた。
「お前らのためにやっているんだ」と何故か泣きながら殴る監督に説教を受けながら、
心の中では全く泣く気はなかったがその場に合わせて泣いていた。
私の記憶が正しければ、このころの私はとにかく穏便なプレーに徹していた。
とにかくミスをしないように、無難なプレーを頑張って行っていた。
サッカーはもはや好きかどうか分からなかった。練習前はいつもお腹が痛かった。
泊まりがけの遠征試合はよくあったが、泊まり先のご飯は完食しないといけない決まりだったが、普段は食べれる量の食事もなぜか食が進まず、食べれない時はトイレに行って吐いて食べていた。
6年生の最後の試合大会はチームの実力とは程遠い箇所で敗退した。
全く悲しくなかったがみんな泣いていたので形だけ泣いた。(悔しくはあったが)
最早ドロップする形ではなくチームを抜けれることに安堵していた。
中学もそのまま延長でチームがあったが断り中学の部活で程々にプレーしていた。
卒業後の数年後くらいに聞いた風の噂ではもう暴力は行われていないそうだ。
私は現在30代だが、それ以上の年代でスポーツをおこなっていた人からすれば、
こんなことは良くあることだった。とりわけ私のメンタルが弱かっただけで、別にみんなは辛かったわけではないかもしれないとも思う。
同学年のエースはプロ入りしたものの活躍できず、数年で引退していた。
もっとみんながサッカーを好きになる方向で育成を行っていたら結果は違うのではなかったのかとも思っていた。
だが、この文を書いている時に調べると◯歳下に現在のJリーグトップ選手がいることがわかった。だとすると一概に悪い育成とも言えない。
(ただ、ここが肝だとも思う。暴力を伴う指導でも、結果は出ている。このトップ選手が殴られながら育成されたは知らないが。
だが、そんなことをしなくても結果は出ていると思う。みんなとってもサッカー旨かった。そこからそういった選手が出るのは当然だし、
練習量から考えればもっといてもおかしくない。データがある訳でもないので、なんとも言えないけれど。)
言いたいのは、恐怖と暴力で律しようとする指導は絶対にやめてほしい。