一ヶ月前、回転寿司に行った。
ちょうど恵方巻きのシーズンだったので、普段はすぐに空くカウンター席でも、座るまでに結構な時間待った。
食後にレジに向かうと、異常なまでの大行列が出来ていた。全て、支払い待ちの列のようだ。恵方巻きを注文した客の会計と、寿司を普通に食べた人の会計が一緒の列で行われているらしい。
レジの支払い待ちが、食事中の人たちのテーブル席まで伸びている。テーブル席に座っている人たちも行列に並んでいる人たちに食事をチラチラ見られて居心地が悪そうだった。
15分ぐらい待って、俺は先頭から2つ後ろまで進んでいた。なぜこんなに時間がかかっているのか気になり、俺は大パニックになっているレジカウンターの裏側を覗き込んだ。
どうやら、恵方巻きがどれくらい売れたのか、業務用アプリに入力する必要があるらしい。
大学1年生ぐらいに見える女性店員は、慣れない手つきでタブレット端末に映る豆粒みたいに小さな入力欄を、親指で懸命に押していた。
結局、思ったように入力できなかったようで、先輩と思われる50代ぐらいのおばさん店員に代わりに入力してもらっていた。
しかし、そのおばさん店員も苦戦しているようで、タブレット端末を覗き込むと「(恵方巻きを買った人の)性別、年齢層、注文個数、受取金額」などを事細かに入力する必要があるようだった。
それが、小指の爪より小さいぐらいの文字の大きさで書いてある。
俺はそれを見て、胸を痛めた。
自分自身、プログラマという仕事をしており、毎日のように業務系のシステム開発をしているんだが、自分が作っているシステムは要らないんじゃないかと思うことがよくある。実は、システムを使う側からすれば、新しいシステムを導入しないで今のままのオペレーションを続けるほうがやりやすいんじゃないかって。
上の出来事がある前からそう思うことが良くあったが、行列に並んで現場を目撃した結果、その考えが確信となった。
システムを理解していない人ほど、システム化=(今の仕組みよりも)便利なものになる、だと思っている。
これは全くの誤り。
システムというものは、作る側と使う側、お互いが理解し合うことで初めて便利なものになる。
使う側があれこれ無理を言ってきても、いいものはできないし、逆に作る側が良かれと思ってあれこれやってあげても、使ってもらえなきゃ意味が無い。
さしずめ、件の回転寿司のシステムは、レジ打ちなどの現場経験が一切ない本社の人間と、その人の言うことに何の疑問も抱かず、提案のひとつもしない言いなりの開発会社が作ったんだろう。
今回のは、作る側が使う側のことを一切考えないで作ったパターンだと思う。
結果、現場では大混乱が起こり、不満が爆発。それをみた本社の人間は開発会社に文句を言い、開発会社は改善要望を載せて次の新システム開発に動くと。
だったら、最初からシステム化しなきゃいいだろって思う。最近話題のアマゾンの完全無人コンビニも、あれ人間の良心を信用しすぎだと思っている。
システムシステムうるせえなぁ。 お前もこの社会っていうエラーばかりのシステムにいるんだからいちいち文句言うな。