2017-06-15

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」を読んだ感想

ひどすぎる。

しかし、残念ながら同じ業界仕事をしている人間として、充分にありえるだろうなという感想である

この作者が嘘をついてるとは思わないし、事実を誇張して書いているとも思えない。

こういう編集は本当に数え切れないほど存在している。

(もちろん、そうでない編集さんの方が多い。と、信じたい。)

あい編集自分も当たったことがあるし、

編集長という立場人間にああい対応をされたこともある。

「俺が●●の編集長だとわかっていて物を言っているのか!」と恫喝に近いことを言われたこともある。

あんたが責任者から話してんだよって言ったら黙ったが。

基本的に、編集漫画家というのは一対一の関係であり、いわばそこは密室である

もちろん編集者には同僚や上司がいるわけだが、漫画家とのやりとりは一対一になるので、

いちいち同僚がどんなやりとりをしているか共有しているわけではないのだ。

から編集漫画家パワハラをしていても、セクハラをしていても、

間違った常識を刷り込んでいても、周りは気がつかないのである

評価されるのは人気作を作り上げたか、そうでないか

単行本の売れ行きである

同じ編集はいい同僚でも、漫画家に対してどういう態度に出ているかはわからないはずだ。

漫画家の方が周囲に相談する等して、助けを求めなければ、事実は一生闇の中となる。

ではもっと漫画家が大声で被害を訴えればいいのではないか、という意見もあると思う。

しかし、名前を出してそんなことをすれば、

それこそ潰されるのではないか、二度とどこからも声がかからないのではないか

漫画の中で筆者が言及していた通り、

「そんなめんどくさい漫画家に二度と仕事は来ないかもしれない」という恐怖が、漫画家側にはある。

一度ついてしまったイメージ簡単にはぬぐえないし、

読者だってそのイメージ邪魔して作品を楽しめなくなるかもしれない。

から佐倉色さんがしたことは、とてもとても勇敢なことだと自分は思う。

片方だけの言い分じゃわからないという意見もっとである

しかし、1人の作家が、嘘をついてまであそこまで大きい会社にたてつくような真似をして、なんになるというのか。

あのエッセイを発表するのに、どれだけの勇気必要だったろう。

「こんな編集ばかりではない」という声がある。

自分編集に助けられたことはたくさんあるし、

まともな人、仕事ができる人、優しい人、いい人、たくさんいると知っている。

しかし今回のようなことが数え切れないほど闇の中に葬られてきたというのも、また事実なのだ

考えてみてほしい。

もしこれが、他の業界での不祥事であったなら、該当の会社はどうしただろうか。

まずは声明を出すのが筋なのではないか

今回の本の内容が事実であろうがなかろうが、角川は何かしらの声明を出すべきであろう。

事実確認し、二度とこのようなことが起きないよう、改めて社内で徹底する。

そういう旨の声明を、何故、角川は出さないのか。

事実でないなら、ねとらぼのようにはっきりと責任所在を明らかにした上で抗議すべきだし、

ボーノ氏がまったくの無罪であるならそこはきちんとボーノ氏を擁護するべきだ。

事実なら、今後このようなことが起きないよう対策をとる旨を、たとえ方便でいいから発表するべきだ。

何の声明も出さないということは、今後もこういうことがあるかもしれない、

しかしそれに対しての対策は全く練らないと、暗に言っているようなものである

それでは同じ会社に在籍する他のまともな編集者仕事だって差し障りがあるのではないだろうか。

「こんな編集ばかりではない」ということは、筆者である佐倉色さんや、他の漫画家ではなく、

そもそも角川自体が釈明すべき点である

確認もせず、釈明もせず、謝罪もせず、改善する気もない。

角川の対応には、漫画家に対しても、在籍している他の編集者全員に対しても、最低限の誠意が足りていないのである

そしてもちろん、消費者であるあなた達に対しても。

今回の本をきっかけに、業界改善を望む。

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