ネット上で形成されたある弱小同人サークルには、オリジナルのマスコットキャラがいた。マスコットキャラといっても内輪的なもので、対外的には全然意味をなしてない。(とはいえ、マスコットキャラがいるとTwitterアイコンだったりカタログのサークルカットだったり、とりあえずそれを描けばいいみたいな存在になるので便利である。余談)
自分はそのサークルの結成から一年程リーダーを務めていたが、今は退任してサークル活動にはノータッチである。後任のリーダーは自分より同人活動も社会経験も長く、気さくで親身で、一児の母でありながら管理職に勤めているというハイスペックな方だ。普通に尊敬できる。
その後任のリーダーが、どうも、そのマスコットキャラクターの名前を一文字間違えて覚えてしまっているようである。(長期間、その誤った方の名称で呼んでいるため、タイプミスではない)
まぁ覚え間違いなんて誰しもあることだ。自分も最近までyoutuberのヒカキンのことを「ヒキカン」と認識していた。そっちの方が語呂は良いと思う。
間違えて覚えてしまったなら、気づいた段階で直せばいいし、気づいた人が指摘すればいい。これはズボンのチャック全開問題と似ている。些細なことだ。
だがかれこれ半年以上、その誤りは直らない。もちろんリーダーが迂闊ということもあるが、それ以上にサークルメンバーの誰もがそのことを指摘しない、あるいは気に留めない、その関係性は不健全に思えて仕方がない。仮にもサークルを象徴するマスコットキャラクターである。名は体を表す、という程はないかもしれないが、名前あってのキャラクターであるのは間違いない。二年以上活動していて、まだ「チャック空いてますよ」も言えない表面的な関係でしかないことに、虚しさを覚えてしまう。
「気づいてるならお前が指摘すればいいじゃん」と言われれば、まぁその通りなのだが……、しかしそれがジレンマなのである!! 指摘は容易いし、心理的障壁はあまり感じない。ただ自分は身勝手な都合でリーダーを退き、その方に押し付けてしまった立場である。サークルから離れていったくせに、姑のようにアドバイスと称した鬱陶しい小言をいう存在になるということは、自己満足でしかないし、それは自分の羞恥心が許さないのである。(これはこれで自己満足なのだろうか)
まぁしかしチャックが全開であっても、それを全員が認識しなかったり、華麗にスルーしていければ、大した問題ではないのかもしれない。寧ろ気づいて騒ぎ立てるのが悪なのかもしれない。「チャック空いてますよ」と言いあえる関係性を最善とするのは、価値観の押し付けだろうか。
この件でトラブルは起きないだろうし、決定的な亀裂ではないと思う。だが、こういった歪みがドンドン連鎖的に広がっていくのではないかと危惧してしまう。