2016-01-16

研究者による労働力ダンピング

しばらくしたらポスドクになる予定の者だけど、ちょっとぼやきたい。

少し前にどうしてもやる気が出なくて、一日中サービス残業」とか「労働ダンピング」とか、その他類似するキーワードで、はてブ検索して、記事とかコメントとかを読んでいるだけの日があった。はてブコメントでは、サービス残業に対して批判的な内容が多く、中には、サービス残業をする人は犯罪者というようなコメントもあって、それにも星が沢山ついて人気コメントに上がってきていた。

そんなのを読みながら、ある出来事のことを思い出していた。二年ほど前に、ある日本人研究者が新しい多能性幹細胞の作り方を発見したというニュースがあった。最初記者会見の中で、確か、彼女休日も含めて毎日12時間研究室に居るというようなことを語っていたと記憶している。そのことについて否定的コメントは、自分観測範囲内では見当たらなかった。当時、彼女主任研究員地位に居たが、恐らくそれ以前のポスドク時代からそのような働き方をしていたと思うし、どのような雇用契約であっても同じであったろうと思う。

私がこれからなろうとしているポスドクパートタイム職員で、時給いくらで一日7時間勤務という雇用条件である。うちの大学にいるポスドクは皆同じような契約で働いているはずだ。しかし、周りを見回しても、定時に帰っているポスドクは皆無であり、だいたい彼女と同じくらいの時間研究室仕事をしている。定時で働いたら、研究室にいる時間は8時間なので、土日含めて毎日12時間研究室にいたら、月の残業時間は150時間を超える。そして、その時間外勤務について、給料をもらっているポスドクもいない。つまりすべてサービス残業である。これは労働力ダンピングではないのか。しかし、そのダンピングの末に何らかの大きな研究成果を発表したら、あの発表の時にそうであったように称賛のコメントばかり寄せられるだろうと予想される。休日も無く毎日12時間働いたという話すら美談として扱われるだろう(もし自分研究メディアで扱われたら称賛のコメントばかり寄せられて欲しいと思っていることは念のために書いておく)。自ら進んでサービス残業をする会社員犯罪者とまで言われるのに対して、この違いは何なのか。

そもそも、仕事の内容的に時間給で雇おうとするのが間違いなのだとは思う。しかし、現状そういう契約で雇われている人が沢山いて、彼らはその契約など無視してサービス残業常態化させている。そこに後から入って競争するには同じことをするしかないだろうし、自分も当然のようにそうするだろうと思う。

ただ、大学研究所の外の人から見てどう思われているのかについては気になるところであるサービス残業は悪である考える人達はこの状況についてどう考えているのか。研究特殊業務であるから、このような形での長時間労働も許容されると考えているのかどうか。

  • 研究者は裁量労働制の最たるもの 結果を出すことが仕事であり しかし彼らのほとんどが結果などだせず ただただ無駄に時間と場所と給料をかすめ取る 結果を出していない彼らは給料...

  • 裁量労働制やフレックスタイムなど例外的取り扱いの場合は、通常の時給制や月給制とは単純比較することは不可能。 逆に、残業代が時間通りに100%支払われるならむしろ長時間労働し...

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