2015-10-06

お金結婚した話

幼いころ、貧乏な家庭に生まれ育った。

金がなく、父と母はいつもケンカしていた。

ケンカをしている罵声を聞きながら、我が家借金の額がいくら残っていて、父親と母親収入がそれぞれいくらを、幼いながらに知ってしまった。

洋服も、制服も、あらゆるものお下がりで済ませていた。

旅行など行ったこともなかった。

奨学金大学へ行ったが、家の借金の返済ができず、諸々あって私が肩代わりすることとなり、中退した。

学歴高卒

経験もない低学歴が、給料の良い会社で働けるはずがなかった。

いまで言う「ワープア」の生活だった。

夜の世界に足を踏み入れたこともあったが、どうにも向いてないらしく3回クビになったところであきらめた。

語弊があると嫌なので補足させてもらうが、コミュニケーション力が低いわけではない。

ただ「女を武器」にするのが、べらぼうに下手だった。

そんな私に、ある転機が訪れる。

大企業への短期派遣仕事が回ってきた。

そこで出会ったAさんは、それなりの成績を残している、稼ぎ頭のひとりだった。

ただし、彼は人間として問題があった。

自己愛が強すぎるのだ。仕事となれば、口八丁手八丁でうまく相手を丸め込めるが、プライベートとなると誠実さの欠片もない人間だった。

自分が一番正しく、自分が一番仕事のできる人間だと、信じて疑わなかった。

不思議なことに、この自身満々な態度は、ときおりビジネスにおいて良い作用をもたらすことがある。

めんどくさい人だな、と思いつつ、そつなくAさんに接していたら、どうやら気に入られたらしい。

派遣の期間を終了した後も、食事に誘われ、デートを重ね、交際が始まった。

Aさんのことはこれっぽっちも好きではなかった。

ただ、Aさんの背景にある札束に、私はどうしようもなく惹かれたのだった。

数年の交際を経て、Aさんにプロポーズされた。

Aさんが交際中に5回浮気していたのを知っていた。朝帰りをした日に、女物の香水が香っていたことも、咎める気はなかった。

だって、私はAさんに好意を抱いたことはなかったから。

お金さえあれば、子どもお金が原因で揉める姿を見せなくて済む。

お金さえあれば、両親とも縁が切れる。

お金さえあれば、子供のころに夢見た真っ白なビーチを目の前で観られる。

お金さえあれば、毎日風呂に入れる。

お金さえあれば、牛肉が食べられる。

お金けがある生活をしているいま、何不自由なく生活を送れているいま、どうしようもなく、幸せを感じてしまうのだ。

追記

>交際中に朝帰り

説明不足で申し訳ない。同棲してたんです。

  • 交際中に「朝帰り」というイベントは発生しない筈です。書き直し。

  • 実際それなりの大学出て中小企業でそれなりに重要な仕事してそれなりの給料貰ってるよりも高卒とかでテキトーな事務の派遣やってるほうがいい結婚相手捕まえる機会は多いよね 私は...

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