2013-05-22

就業前残業の是非について

目下30代半ばのSEである

常々、高稼働の現場を目にするに当たり、自分だけは社畜になるものかと奮闘してきた。

しかし、今年に入ってから、複数人いる現場メンバーを取りまとめるリーダーの不在がいろいろな方面に波紋をよぶため、そろそろ誰かやらないかと、上司から通達があった。実質プレイングマネジャーのため、相当の才覚と忍耐力が必要だ。

当然、私も例え失敗してもいいから今後の昇進を見据えて実績は欲しいところだが、ちょうどメンタルを患っていた時期で、その話に飛びつく自信がなかった。自分の作業はもちろん、日常を安定した気持ちで過ごすだけでも大変なのに、これは相当な負荷だ。

そのため、まごまごしているうちに別の人間が手をあげ、その任を引き受けたため、私自身は仕事に対するモチベーションを極限まで減らし、とにかく自分の身を守るので精一杯という時期をこの3月まで過ごしていた。

しかし、何かやるせない。不甲斐ない気持ちで心は充満していた。そのため、とにかくまともな神経に戻そうとメンタル改善し、体力をつけてから再戦と考えていた矢先、下に人がつくなど、とにかく実績を作る足がかりができた。

ついた人間は開発経験5年くらいなので、ある程度の説明と現場ナレッジを与えれば自然と動いてくれる。しかし、そうはいってもまだ不明なことや未経験なことが多いこの業界で、当然提供すべき情報サポートが日々発生している。

それにしっかりと彼を育てたいと思っているので、相当の時間自分の作業以外にかかる。だが、うちの会社は専らのトップダウンな社風のせいか、「稼働=コスト」としか捉えておらず、当然ながら結果の数字しか判断しない。年収頭打ちの私は、実績を作りつつも稼働を上げない、言わば製造業なら当たり前の「安いコストで良いもの(サービス)を作る」というジレンマに陥ってしまった。

俄然お客にも自社にも良くする法などなさそうなので、現実として(サービス残業をしてでも結果を残そうと決意したが、年齢のせいか思うように連日の残業は続かず、体調を崩すだけなのが判明した。そこで、朝ならばと就業前の1時間を準備や瑣末な作業、確認や整理の時間に割り振り、極力残業せずに業務時間内の成果を最大化するよう自分をし向けた。

ある程度効果があったため、月次の報告書に「就業前時間有効に使って作業効率ができました」との自己アピールを書いたのだが、リーダー決定の時に名乗り出た者がこれを削除した。私的には人の自助努力を無にする隠蔽工作かと訝ったのだが、その後リーダーではないがベテランかつリーダー経験者との話し合いが持たれ、その結果、私の予想を覆した。

彼らの示した要点は以下の通り。

サービス残業を実質していて、稼働が抑えられたからと言って、本当に作業効率が向上したといえるのか?

・就業前時間を作業に当てているのなら、稼働として報告し、その分の対価を得たらどうか? こちら(そのお二人)としては、仕事に対する(私の)モチベーションの高さが感じられる。

・社のトップが早朝残業生活残業を許さないタイプのため、大っぴらに問題提起はできない(逆に作業するなという締め付けがなされる可能性の方が断然高い)

正直、1点目は私の認識の甘さを露呈させてしまったが、2点目に関しては、見識のある妥協点でもあるし、思ってもいない評価だと思いありがたくて感激してしまった。ただ、やはり残念なのはおそらく日本の多くの企業がまだ良解を出せないでいる問題と全くシンクロしていたことだ。

ただでさえ、一部大企業年収アップを決定しているし、成果主義も年々常識化してるはず。そんな中、現場では理解されても、上層から評価を得なければ末端エンジニアは這い上がれないという構図はどうにかならないのかというのが、この時感じた疑問である

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