2013-03-13

解雇規制を緩和すると、雇用は増えるっていうのは本当か

この何年か、解雇規制が厳しすぎるから緩和して労働力の流動化を図ろうっていう主張が盛んだ。いまの安倍内閣でもそう言っている。

でも、これにはいくつか疑問がある。自分の中でも整理できないので箇条書きしてみる。

解雇規制が厳しくて解雇できない従業員が存在するとして、それは何人いるのだろうか。社内失業者とかいうのを大量に抱えていられるほど日本企業に余裕があるとも思えず、実際にはかなり少ないのではないか

解雇規制が厳しいから、正社員を増やせず、非正規社員を増やしているんだという理屈は正しいのだろうか。いったん雇用したら解雇が難しいか採用に慎重になるんだっていうのはわからないでもないんだけれど、非正規社員の増加っていうのは、先進国共通の減少なんだそうだ。非正規社員が増加しているのは、もっと単純にコストが安いからではないのだろうか。賃金だけじゃなくて、福利厚生費も含めると、正社員非正規社員の差は激しい。だからこそ、正社員を増やすことに慎重になるんじゃないのか。

解雇規制があるから労働力が固定されて流動性が乏しいっていうのは本当か。人件費の上限が決まっているのであれば、解雇できなければ採用もできないわけだから大企業が思うように中途採用できないってことはあるかもしれない。でも、大企業中途採用が盛んではないのは、人事制度新卒一括採用を前提にしているからではないのか。また、労働者から辞めるのはとくに規制されているわけではないから、もっといい会社があれば転職するし、あるいは起業する人もいる。その意味では十分に流動的である会社にとって辞めて欲しい人が辞めてくれないという意味では流動的ではないかもしれないけれど。

解雇規制が緩和されると、「おまえクビ!」が連呼される社会になるんじゃないかって反対する人がいるけど、それは杞憂じゃないだろうか。使えなくなるとすぐにクビを切るような企業の評判がよくなるとは思えないから、企業だってそう簡単にクビを連発するわけにはいかないだろう。クビにしない使える社員報酬は十分に高くしなければならないだろうし。クビを連発するっていうのは、企業にとって良い選択ではないと思う。労働者にとっても、追い出し部屋みたいなところに閉じ込められたり、退職するまで毎日面接なんていういじめを受けるよりは、お金もらってクビになった方が精神的に楽じゃないか

労働市場が流動化すれば、成長産業に人が流れるっていうのは、実際には難しいんじゃないか。そもそも成長産業って何だっていうこともあるけれど、たとえば昨日まで機械操作して単純労働やっていた人が、突然スマホアプリ作ったり、介護現場で働いたりするっていうのは難しい。誰かに指導されて介護を手伝うくらいはできるかもしれないが、それにしても訓練が必要だ。実際には、成長産業にいくよりも、誰でもできる簡単な仕事、つまり賃金の安い仕事に移動することになる。それでも失業するよりはましなわけだけど。先進国所得格差が拡大しているのも、低賃金の職にしか就けない労働者が増えているからだろう。労働力流動性を高めたいなら、オランダみたいに就労支援を手厚くする必要があるだろう。同一労働同一賃金重要だ。そうじゃなければ、正社員の地位にしがみつくのは当然だ。

 就労支援に関してついでにいうと、生活保護費を削減しようとしているけれど、これなんかも就労支援で生活保護受給者を減らすことが筋だと思うんだけど、一律削減っていう簡単な 方法を選択するみたいだ。

  • ただ長いだけで、何も言ってないのと同じだなw 統計 労働者保護規制、緩いほど高就業率・OECD24カ国分析 http://ameblo.jp/srtora/entry-10037687220.html 「雇用保護規制の強い国ほど非正規...

  • MyNewsJapan編集長、渡邉正裕氏による「ソリティア社員が国を滅ぼす」 大企業にいる「働かない人々」の実態 http://mojix.org/2011/01/04/watanabe-solitaire たくさんいるから困ってるわけだよ(笑...

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