2011-05-15

スーツ世界から逃亡したかった彼

社内の誰も、インターネットを知らない。パソコン通信もやっていない。

ああ悪かった、JUNETなんて君は知らないかもな。CompuServeくらいはしっているかい?

彼らは財テクも知らなくてビジネス書も読まないんだ。

Niftyフォーラムfjニュースグループ社会に与える影響について誰も語れない。

Macintoshは知るわけない。

自宅にキューハチもない。ワープロ専用機さえ持っていない人もいる。

年賀状プリントゴッコか芋版だ。

写真屋にそそのかされて生れた赤ん坊写真付き年賀状を送ってくる同僚はいる。

ゲーム機ピコピコと呼んで触れようとしない。

おかしいことじゃない。普通の人たちだ。本当に彼らは普通なんだ。

休日ゴルフや酒に興じている。カラオケも大好きだ。

喫煙所で何を話しているか想像出来るだろう?

彼らは、仕事プライベートを切り分けている、立派な人たちだ。

でも、やっぱり俺の生きていきたい世界は、ここじゃないんだ。

 

 

 

 

あの頃の彼は語っていた。とても熱く語っていたよ、

僕は技術に疎かった。言っていることはよく分らなかった。

から言葉は間違っているかもしれない。彼が生きていたくない世界から本当に逃げられたのかは分らない。

 

僕が生れたのは恵まれた家庭ではなく、親もパソコンを買ってくれなかった。

そんな意味の分らないものを買ってくれる酔狂な親が羨ましかった。

パソコンが何なのか理解できる親がどれほどいただろう。

彼は子供の頃からパソコン(昔はマイコンと呼んでいたかもしれないけれど)でプログラムを組んで遊んでいたらしい

解説をしてくれたけれど、何を言っているのか分らなかったよ。

幼い彼はとても神々しいことをしているように見えた。マンガに出てくるコンピュータはすごいものだったから。

 

早くに結婚したから独身貴族の彼みたいに金は使えなかった。

あのMacintoshは100万と言ったか200万といったか

パソコンくらい買った方がいいと言われてエプソンの一番安いものを買ったけど埃をかぶっていたっけな。

通信も金が掛かりすぎた。テレホーダイ?まともな人間は使えなかったよ。あんなもの使ってたのはどんな人達だろうね。

 

目新しいものを見つけると買ってきて、前に使っていたものはゴミだと捨てるんだ。

ああ、お下がりを友人達に売りつけていたかもしれない。

そして、まだそれを使っている人々を冷笑するんだ。彼らは普通の人だととても嬉しそうに語りながら。

今なら分るが、ネットにいくらでもいる手合いだ。自称「ギーク」のキモヲタだ。殻に閉じこもったヒキコモリと同じだよ。

 

彼は今でもテクノロジー見果てぬ夢を見て、Twitterの力を信じ

Facebookによってもたらされたかもしれない革命に熱狂し

2ちゃんねるで「情報弱者」たちを見て笑っているのかな。

はてなで高邁な理想を垂れ流しているかもしれないね

自分たちだけは特別な情報を知っていると。普通人達は哀れだと。

 

今でもゲイツジョブズの一挙手一投足に胸躍らせ、西和彦孫正義言葉に胸ときめかせているのかな。

本当にそれが続けられているならいいけど。

 

彼は今でも「未来」を押し売りしてごみを増やしているのかな。

僕も新しいものは嫌いじゃないけど。

 

自称ギーク達はMSApplegoogleFacebookTwitterを作った人達とは何が違うのだろう?

実は全く変わらないのだろうか?まるで彼らがそう信じているように?

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