2021-07-11

ノストラダムスの大予言

最近ではもはや年配の人以外にはほとんど知られていないようであるが、1999年7月までは本気で信じていた日本人がかなりいた。

1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」

アンゴラうさぎ様だか、アングラ演劇界王様がその時期になると世界中で暴れ回って、人類を笑い死にさせるとか、狂わせるとか言われていた。え? 違う? 似たようなものだと思うけど。

きっかけは、とあるベストセラー本で、思いっきり売れたので天皇陛下だって信じ込んでしまったとか、してないとか。

 

でも、すぐにそんなバカなことがあるわけねぇ、と思った。

一年が365日であるのも一日が24時間であるのもイエス・キリストの生誕が約2000年であるのも、単なる偶然である

火星金星に行けば、単位は変わってしまうし、「世紀」を地球一年を元にした100年単位で考えるのも、人様が勝手に考えたものである

その暦自体だって半グレ歴だとかなんだとか、何回か変わってるというじゃねーか。

なーにが世紀末だ、西暦だけで世の中回ってるわけではないぞ。うちの家系は、地球タンパク質が生まれた時からずっと続いているんだぞ。

 

などと、屁理屈をぶつぶつ言ってたら怪しく思われるので、表面上はあの血液型話題に加わるようにして、

「だよねー、あと一ヶ月経ったら人類滅亡かー、どうなるんだろうね? 政府は何か対策を打ってるのかなあ?」

村八分にされないように振る舞っていたのである

 

私が間違っていた。

絶対に何も起こらないと確信していたのに、確かに世界は終わりを告げたのだ、忘れもしない1999年7月11日。

アンゴラうさぎでもアングラ演劇でもなく、いやそれは表れたのではなく、消えたのであった。私の親父様。

経営していた会社破綻借金10億。

色々事情があって、破産は無理だと判断した残された家族は、利息をチャラにしてもらって、元金を長期にわたって分割支払い返済することになった。

それが払い終えたのが2年前だった。

 

本当にあのとき、それまでのゼータクな暮らしは突然消え去り、私は翌月から深夜2時に起きて新聞配達していたほどだった。

ねーちゃん大学を辞めて、水商売を始めて、一年位経った頃に行方不明になった。それでも毎月何処かから振り込みだけはずっとあった。10年ほど前に帰ってきてねえちゃんと再会したときには、どうやって作ったのか一切言わなかったが、ねえちゃんは二千万も一気に返済してくれた。

かーちゃん破綻した会社を再建し、従業員の全員を首にせざるを得なかったけど、小さな会社だけど必死で頑張って支店まで持つようになった。

昨年には、かーちゃん社長業を引退して、私が引き継いでいる。

 

本日7月11日は確かに世界が終わった日だったが、私たち家族は決して終わらなかったのだった。

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