2021/5/12現在、東京は緊急事態宣言により、商業施設に休業要請がでている。
古書店については、床面積の合計が1,000㎡超の施設については休業要請、それ以下の場合は休業の協力依頼がでている。
協力依頼の場合も4/25から5/11まで休業すると1店舗あたり34万円、緊急事態宣言が延長されたことで、5/12~31までの休業で40万円の協力金が振り込まれることが発表された。
一回目の緊急事態宣言の際はどこの古書店も休業を余儀なくされたが、今回の緊急事態宣言では対応が分かれている。
国、自治体の要請に従い休業を決めた古書店、要請には従わず営業を続ける古書店。
それぞれの考えがあり、対応を決めているのだろう。
だが、今回の対応には何か腑に落ちないところがある。
twitterをみると、今回の協力依頼に対して、下記のような反応があることがわかる。
①政府、都に逆らうなんてとんでもない!→休業する→わかる
この③の対応、これがどうにも腑に落ちないのだ。
国、自治体に呪詛を吐きながら、ちゃっかり協力金はいただきながら休業する。
たとえば、映画関係者らは、「SAVE THE CINEMA」プロジェクトを立ち上げ、劇場、イベント等が部分的にも緩和されているにもかかわらず、映画館は休業要請を継続されることに対し道理がないとして抗議している。
映画館に要請されているのは休業要請であり協力依頼とは重さが違う。
店を閉めるのは、感染を拡大させない、人流をとめるためだ、という意見もあるかもしれない。
しかし、感染予防、人流をとめることに対し、古書店を閉めることがどれだけの意味があるのだろうか。
古書店が感染拡大の対象になるというのであれば、ほとんどの商業施設がクラスター発生場所となってもおかしくない。
かのように感染拡大、人流の双方の観点からみても営業の有無が影響を与えない商業施設、それが古書店であり、だからこそ政府、自治体も協力依頼どまりの対応としたのであろう。
もし、政府、自治体へ抗議の意志を示すのであれば、協力金を拒み、営業を続けることだ(最も困難な道は協力金を拒み、営業は休業することだ)。
それが言行一致であり、緊急事態宣言下として周囲からみても納得がいくふるまいである。
あるいは、「金がもらえるんだから休むよ、そのほうが営業するより楽だから、ネット通販もあるし」というように開き直るのであれば、それはそれで一つの態度だ。
だが、普段から政府、国の対応をさんざ批判しておきながら、いざ協力金がでるとなると尻尾を振って受け入れてしまうこと。
もちろんいくら口では大きいことを言おうと生活があるのだ、休業して金をもらえるのであればそちらを選びたい、という気持ちはわかる。
わかるが、やはりその程度の覚悟なのか、と思わざるを得ない。
普段から古書店を利用する者として、反体制を気取るのであればここは営業を続けてほしかった。
今回営業を続けることを決めた店はやはり今後積極的に応援したいと思う。
そして最後に、③を選択したということは、政府、自治体から「普段は多少キャンキャン吠えても、この程度のはした金を渡しておけばおとなしくいうことを聞くのだ」と間違いなく理解されているだろうということであり、そのように思われることに何の抵抗も覚えないのだろうか、ということだ。
そのことに無自覚なまま、緊急事態宣言があけたらなんのてらいもなく政府批判を続けてしまうこと。
そうした言葉はむなしく空回りせざるを得ないだろう。