そんな帰りの電車の中、座席は埋まっていて優先席だけガラガラだった。
幸い立っている人がいなかったので、「誰か来たら立とう」と優先席に座らせてもらった。
その後、杖をついた70代くらいの女性が乗車してきたので席を譲った。
お礼を言われた後、その女性の何かいいたげな強い視線を感じたので目を合わすと、
色々と話しをされていたが、要約するとこのような内容だった。
・重度の知的障害を持っている方は、全ての行動において介助が必要であり(恐らく知的だけでなく、重度の身体障害もお持ちの方について言及しているのだろう)、
介助する人たちも大変そうである。
・軽度の方はある程度自分の感情や意思を伝えられることもあるが、重度の知的障害の方は何も伝えられない。
・何か障害を持っていても、気持ちを言い表せない人もいる。そんな人が優先席に来ることもあるのだから、
その電子機器(その時kindleを読んでいた)は使用してはいけない。
なぜ、いきなり相模原の事件について語りだしたのか。一番私に言いたかったことは何だったのか。
そこまで聞いて、やっと理解できた。
その後もその女性のお話は止まらず、「子供は時間が経つにつれて成長するが、重度の障害を持っている人の知能は一切成長しない」
「トマトは水をやれば赤くなるが、障害のある方は何か働きかけをしてもトマトのように変化しないので可哀そう」などと話し続けていた。
もう、我慢ならなかった。
「私の持っている電子機器(kindle)はスマホなどの通信機器ではない。
更に言えば、今はもうスマホやタブレットもペースメーカーに影響がないことが証明されている。」
と突っ込みたい気持ちもあったが、そんなことよりも言いたい大切なことが沢山あった。
重度の障害のある方も、沢山成長をしますよ。変化もします。そして、私はそういう方々と関わってとても楽しかったです。
障害のある方と接点が無い方にも、そのような良いことをもっと広めたいですし、差別をなくしたいと思っています。
それでは降りる駅なので、失礼します。」
途中、女性が何か口を挟んできたような気もするが、気にせず話し切って私は電車を降りた。
私はそこそこの年数、重度の知的障害者施設(重度の身体障害も持つ方も沢山いた)で支援者として働いていたので、
話したいこと、理解して欲しいことは本当は山ほどあった。
しかし降りる駅に到着しかけていたし、これ以上色々話すと感情が高ぶって穏やかに話せなさそうだったので、
そう伝えることが精一杯であった。
私が関わった、沢山の障害のある方の顔が頭に浮かんだ。大好きな人たちの顔だ。
悔しくて悔しくて、たまらなかった。
福祉の仕事をしていた時もそのような差別的な話をされたことはあったが、
久々にそんな話を面と向かって話されたので、悔しさと怒りの気持ちが一段と溢れた。
TVや何かの記事でわかった気になって、同情するふりをして差別をする人たちは沢山いる(当人たちは差別をしている意識がない場合もあり、余計厄介だ)。
いきなりそんな事を赤の他人に話すその女性が不自然過ぎるんだが…
一番言いたかったことってなに? ぼかさないで教えてよ
「優先席で電子機器を使うな」ということです。分かりづらくてすみません。
「電子機器つかうな」だよ
差別と弱者保護は紙一重だよ。ああ、障害者を弱者認定するとヒステリーを起こす人がいるかもしれないから、聞き流していいよ。