2018-06-22

ダメ説明書の作り方、12のコツ

(1).正式版を発行する前に、作者や家族子どもに下読みさせない。これらの人は、説明書の欠陥を見抜いてしまうからだ。中学生が読んでも分からない程度の難解な説明書なら、威厳が出てよい。

(2).ルールブック風に書き、レシピ風には書かない。「何が許容され、何が禁止されるか」だけを書き、「次に誰が何をどうすべきか」は読者に考えさせるべきである道路交通法さえ読めば、自動車運転完璧にできるはずだ、と同じである

(3).読者に「注意」させよう。「なお、〇〇に注意すること」と書くべきであり、「○○なら機械を止めよ」などと具体的な指示は書かないことだ。

(4).否定を使おう。「猫ではない場合」と書くべきであって、「犬か馬の場合と具体的なイメージが生まれる書き方はしない。

(5).堅苦しく書くこと。漢字を6個以上並べて熟語を作ろう。動詞名詞化しよう。「歩く」ではなく、「歩行を行う」がよく、「歩行作業開始を行う」はさらによい。

(6).既存説明書を参照させよう。読者が今読んでいるページで説明するのではなく、「詳しくは○○文書の○○ページを参照のこと」と、ページをめくる手間をかけさせるのだ。

(7).1ページあたり、10カ所ほどは下線や太字、傍点などの文字修飾を使って重要部分を目立たせよう。新聞記事では文字修飾は使わずに、小気味よい体言止めの大見出し小見出しを使って、要点を目立たせているが、面倒だ。文字修飾は安直で、使い勝手がよい。

(8).絵や写真絶対に使ってはならない。特に部品の組み立て方などの幾何学的な指示や、良品と不良品判別など実物写真があれば分かりやすい題材に対して、ビジュアルを使うのは厳禁である。何でも、言葉表現しよう。

(9).説明書は、分厚く、長い方がよい。何でもちゃんと書いてあったというアリバイができるので、事故が起こっても説明書の作者は責任が問われない。どこに書けばよいかからないが、書かないとアリバイにならないという情報は、「その他」や「注意事項」という章を作って、書き連ねておけ。「その他」が肥大化した説明書は素晴らしい。

10).最後の1文で、どんでん返しをしよう。説明書の末尾に、「なお、○○の場合上記の限りではない」と付けておけば、読者は最後まで気が抜けない。

11).索引はつけない。PDF説明書なら、キーワード検索ができないようにしておくこと。

12).説明書作成改訂理由執筆者は書かないでおこう。そうすれば、数年もすれば、なぜこのようなルールができたのは誰も分からなくなる。

(「安全健康」vol18, 中田亨, 2017, p.49-50)

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