純真無垢、天真爛漫、というキャラ付は、「ギャルゲー」だと割と早く「痛いキャラ」化してる
キャラの差別化がエスカレートしていった結果、純真無垢さは「無知」「世間知らず」を経由して「世間離れ」と一体化した
たぶん忘れてるだろうが90年代後半は語尾に「りゅん」とかつけるキャラが流行った
いわゆる葉鍵は、ギャルゲーでエキセントリック語尾祭りが華々しく打ち上げられた後
売上的には徐々に落ち込んでいく時期に差しかかった頃に流行が本格化(発売自体はもっと前)
コンシューマーギャルゲーも食っていくのが難しくなり、複雑な好感度システムで人件費かかりそうな恋愛ゲームから
「シナリオだけ書いとけばとりあえず体裁がつく」システム互換で量産可能なノベルゲーの時代に
今の視点だとギャルゲープロトタイプみたいに言われがちな葉鍵だが
シナリオも、それまでの売れに売れてた有名エロゲーやギャルゲーのアレンジやパロディの位置づけになる
(「To Heart」は「同級生」の超廉価エコノミーなゲームシステムだし)
既存のエロゲーやギャルゲーのキャラを皮肉り、過剰な方向にエスカレートさせてキャラ造形してった
ONEの頃はアリスソフトのシナリオとあまり変わらなかったと言ったら信じてもらえるだろうか
「天真爛漫な痛いキャラが人気だというなら、本当に知恵おくれ、障害のあるのキャラにしちゃる」という、けっこう毒の多いシナリオだったのである
当時の鍵の賛否両論には、この「既存のギャルゲーの感動的なヒロインを毒のある方向に皮肉る」という内容に対する
「俺の感動したシナリオをバカにしやがって」との口に出せない反発もあったりする
事情が特殊なのは、鍵がそういうパロディ的な面を評価される(エロゲーのシナリオはパロディ成分が多いのは当たり前)以上に
「感動的で泣ける、本格的な恋愛シナリオ」として評価されてしまい、ジャンル客を超えて反応が広がったことだろうか
「言動が痛いヒロインは本当に精神に色々と問題がある」という手法はギャルゲーの本流に取り込まれ、当り前になった
ever17についていえば、KIDは元々はノベルではない恋愛ゲームで色々と作っていたのが売れなくなり
ノベルゲームという廉価な仕組みに乗りかえたという流れがあって
コンシューマーギャルゲーの痛いキャラとノベルゲーの痛いキャラの両方の系譜を拾ってる上に
メインシナリオライターの文章自体がしばしばエキセントリックなので、ユーザーの時代感覚や年齢とはあまり関係なく
普遍的に痛いと言って構わない
えみりゅんは当時から完全にネタキャラ扱いだった気が…