大手SIerに特定派遣でいっていたとき、仕事はプログラム、科学技術、数学の諸々の知識が必要な仕事だった。客とその客は僕一人の作業について一ヶ月百数十万円の金額で契約していた。そして自分の会社と派遣先はその半分くらいだった。そして僕の給与の額面は19万5千円だった。アホらしくなって転職した。
転職先はベンチャー企業で新しいプロダクトの開発に携わって欲しいとのことだった。入社直前になってやっぱり派遣で外に出てと言われた。あとで自称ベンチャーと言う名の零細企業だとわかった。派遣先は製造業系の会社のIT部門だった。運良く新しい生産管理システムの、ほぼ全ての設計と実装に関われた。そのシステムで桁違いの純利益が産まれ、派遣先のリーダーはボーナスの桁が上がったと喜んでいた。でも僕が自社の上司から言われたのは「自社の業績が悪いからボーナスと残業代カットね」だった。自社と派遣先の契約は月60万円以下だったし、派遣先の売上が上がっても契約金額が上がるわけじゃない。無理もない。結局その会社は能力がある人は片っ端から派遣に出し、能力が無い人は派遣に出せないので自社で受託開発を行っていた。能力が無い連中だから受託開発で赤字を垂れ流し、その赤字を派遣で稼いだお金で埋め合わすようになっていた。そして肝心の新しいプロダクトの開発は能力のある人が派遣で外に出ているからできるわけもない。
次に転職したとき、その会社には業界で有名な人がたくさん在籍しているのを知っていたので、凄い人達と仕事ができると楽しみにしていた。入社数日後に派遣で出てくれと言われた。聞くとその有名な人もほぼ全てが派遣で外に出ており、一緒に仕事をしているわけではないらしい。マネージャー層は「エンジニアは派遣に出て当然」といった。ものづくり大国とかいってるけど、この国は商人の国だとわかった。エンジニアは使いっ走りでしか無い。まあそれでも、この会社のいる間にできた沢山の知り合いは掛け替えのないものになった。
今は自社サービスを持つ会社で働いている。自分のやったことが売上に直結し、マネージャー層はそれをどうやって社員に還元するかを試行錯誤してくれる。タスク量がちょっと多いこと以外は不満は無い。