いつからだろうか、俺はリモコンバイブの出てくるAVやエロ漫画が好きだ。
かつては飛びっ子という名前でも知られ、いまや様々な作品で
だがそうして増えゆく作品の数々を見ているうち、
リモバイなら何でも良いというわけではないと、あるとき気付いた。
野外で、でも服はちゃんと着ていて、感度が良くて、恥ずかしがっていて、
一般大衆にはソレがかろうじてバレていない、でも油断したら声が漏れそう、
そのうち、そういうシチュであれば別にリモバイが無くたっていい、とも思うようになっていた。
特に2次には催眠とか魔法とか便利なガジェットも色々とあるし。
つまり、俺は本当は「リモコンバイブが好き」なのではなかった。
より正確に言えば、その表現では不十分だったのだ。
PixivとかDMMとかで関連してそうな作品を漁って説明文を読み、
あるいは2ch(pinkbbs)のスレタイを眺めてみたりして、
同好の士が集う場が既にあったりはしないかと出来る限り探してみた。
やがて「声我慢」という表現を掴んだ。
AVの界隈ではちょろちょろと使われているようだったが、
2次界隈の使用例は当時ほぼ皆無だった(と記憶している)。
もし俺に画力(と知名度)が有ったら、
実際Twitterなんかを見てると時々そういう活動を目にする。
だが俺にそういう力は無かった。
できるならばこの概念が広く知れ渡って、1人でも多くの人に共感してもらい、
新たな作品を生み出してくれる人が増えたらいいと思っていた。
それで、どうしたか。
"リモコンバイブ"、"声を出したら"、"声を -出したら"、"我慢"、"野外"、…
「声我慢」という概念が含まれている作品が引っかかりそうな、考え得る表現をとにかく試した。
まだ名前の定着していないこの概念が好きだと言っている絵師さんを探した。
タグが10個埋まってるときは、あまり重要ではない(と俺が勝手に思った)タグを
削除させてもらったこともあった(他の属性のファンの方々、申し訳ない)。
そうして、その単語でタグ検索をすれば数十件くらいはヒットするような状況を作り上げた。
「少なくとも一部では通用している概念なんだ」と思わせたかった。
「私の描いた絵の属性にはそういう名前が付いているんだ」と認知させたかった。
その後も地道に関連作品を探してはタグを付ける作業を続けていたところ、
そのうち俺ではない誰かもタグを付けてくれるようになった。
嬉しかった。
俺がこの概念を広めたという優越感も確かにあった。
新たな作品が増える喜びももちろんあった。だけどそれ以上に、
俺が重要性を認識して、世界から切り出し名前を付けたこの概念が、
その言葉を使う人が増えれば増えるほどそれがあらわす概念は多様になり、
いつか、「声我慢」なら何でも良いというわけではない、
と思うときが来ればいいなと思う。