2020-07-29

Netflixの13th観た

黒人差別だなんだかんだで流行ってたから観てみた。13thってタイトルアメリカ合衆国憲法修正第13条のことで、これに存在する例外のせいで現在アメリカでは黒人奴隷だよっていうのがメインのテーマになっている。クオリティ自体は高いしよくまとまっているから観る価値が無くはないが、色々な疑問は持った。

とりあえず観てない人のために簡単説明をしてみる。アメリカ合衆国憲法修正第13条第1節は奴隷制を廃止しているが、例外存在する。

第1節 奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。

この「ただし犯罪者であって」という例外だ。要するに犯罪者だったら奴隷なってもしゃーないということらしい。この例外規定を悪用して黒人犯罪者にすることで現代にも奴隷制は存在する、というのが13thの主題だ。

大まかな流れを説明する。公民権運動前のアメリカには人種差別正当化する法律があった。黒人たちは平等を手に入れるために公民権運動では差別的法律をあえて破り、あえて白人逮捕されることが運動キーになっていた。不当な法律の不当さを訴えるため、あえて逮捕されるということがヒーローのように扱われているという文脈があった。彼らの努力は功をなし差別的法律は表面上は消え去った。しかしその後ニクソン犯罪の取締を強化し大麻などのドラッグ科学的根拠なくどんどん違法化することで黒人犯罪者がどんどん増えた。レーガン麻薬との戦争を更に強化し、クラックの刑を必要以上に重くした。重罪として裁かれた黒人収監者はさらに増えた。ブッシュパパは犯罪との戦いを強調することで大統領選を逆転勝利した。共和党犯罪に対して強硬姿勢民主党は優しい感じだったのだが、これらを受けてクリントン民主党候補にも関わらず犯罪への強硬姿勢を示した。クリントンの様々な施策により刑務所収監者は爆発的に増えた。そしてその頃民間刑務所ビジネスは成長市場であり刑務所はどんどん増えた。またビクトリアシークレット等のメーカー囚人たちを労働力として安く利用して莫大な利益を上げていっていた。つまり経済的犯罪者を増やすインセンティブ社会にあり、世界中犯罪者の実に四分の一が、世界人口の5%に満たないアメリカにいる。

とまあこんな感じだ。詳しいことは実際に視聴するとよく分かると思う。

これを観ていて黒人さん達可哀想にと少しは思ったが、疑問点もいくつか持った。

この13thの中で一番時間を割いて主張されていた「犯罪取締強化は黒人犯罪者に仕立て上げるための差別的陰謀である」に関しては少し展開が強引すぎるし、インタビューを受けていた人達もそのような前提で色々と訴えていたことに関しては少し引っかかるところがあった。もちろん不当逮捕や不当裁判があったことは事実だろう。人種によって逮捕されやす有罪になりやすさが違ったこともあっただろう。しかしだからといって、まるで完全にシロな人達冤罪でどんどん刑務所で突っ込まれていったかのように犯罪取締強化、ドラッグ規制強化を語るのは少し違うと思う。もう少し客観的ドキュメンタリーが観たいなと思った。

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