はてなキーワード: nmrとは
半導体関連の技術者としてまったく同見解。表面的な原因は開発スピードの遅さにあって、その根本原因は研究に特化した人材を育てない愚かな企業体質にあると思う。
日本の企業の人材育成というのはマルチ指向で、要するに何でも出来る・いろんな事が出来る人材が良い、という風潮がそこらじゅうに見受けられる。これを研究所にまで適用して、やれ5Sだの環境教育だの、会社の経営状態がどうだのこうだの説明してみたり、使いもしない英語の授業だの、社員間の交流活性化だのといった、R&Dと何の関係もない何の意味もないくだらない事に、全工数の3~4割は割かれている。
人材登用のやり方もそういった方針に従っている。潰しの利く、何でも出来そうな学科を出てきた学卒や、せいぜいマスターあたりのみ拾う。機械工学や化学工学あたりの、おおよそ機械は何でも使えていろんなデータが取れて、どこに配属してもそれなりに使えそうな人材に重きを置く。そういう奴等はメカニズムというコトバに弱い。演繹的な発想が出来ない。帰納的な開発しか出来なくて、出てきた結果に適当な理由をくっつけて、こうでした、という報告しか出来ない。データは溜まれど、知恵は貯まらない。
ウチの会社(財閥系でそれなりのところだ)のR&Dには、工学系でマスターのくせに「結晶転移」だとか「エネルギーギャップ」だとか言われて、ナンですか?それ?って奴がゴロゴロしている。高校生レベルの行列の演算も出来なくて、シュレーディンガー式を解ける奴なんていったら確実に1%を切るだろう。
連中は装置は一応使えるよ、熱分析も出来るしSEMもTEMも使えるし、XRDもFT-IRもESCAもNMRも使えるよ、マニュアル通りに。もちろん仕組みは知らないけど。
こういう事がいかにバカかと思ったのは、サムスンに訪問した事が切欠だった。あそこの技術者は末端でも、適当な学会に行って自分の専門分野外で一説ぶってこれるくらいの頭は持っているんじゃないか。とにかく凄いの一言に尽きる。日本の技術者は負けて当然だと思う。科学に対するセンスも桁違いだし、学ぶ事が好きで熱心な連中だと思える。サムスンはマルチな人材は欲していないようで、適材適所。日本の企業とは違う。
まぁ、一番は給料だろうか。日本ってなんで、研究開発部署の奴が、工場労働者と同じ額なの?下手したら「入社以来の年数」の分だけ少ないんだけど。