頭がモヤモヤしている。
このモヤモヤは今に始まったことではなく、もう数年前から続いていて、今では当たり前のように頭に鎮座している。
まるで脳の一部であるかのようにそこにいるから、対処しようとすら思わなくなっている自分がいる。
そしてアレルギー性鼻炎による鼻の詰まりもあり、余計に頭は冴えずぼーっとしている。
まだ40歳手前の年齢にも関わらずこのような有り様だ。これからの人生どうなるのかと不安がないといえば嘘になる。
近い将来、正しい判断ができない日が訪れたらどうしようかと不安になる。
今も正しい判断ができているとは到底言えないが、今よりも判断力が弱まるなんてことを考えただけでも恐ろしい。
長年頭がモヤモヤし続けている私に、たった1度だけ頭のモヤモヤが晴れた時期があった。
それは今から10年前、仕事を辞めて「無職」になった瞬間に訪れた。
辞めたかった仕事をやめて無職になった数日後、街に出ると、妙に頭がスッキリとしていた。
頭のモヤモヤがない。
「あの不動産屋の看板こんな色してたんだ」「こんなにたくさん人が歩いてたんだ」「太陽の光がビルに反射してキレイだな」なんて、頭がモヤモヤしていた自分には見えていなかった世界が一気に飛び込んできた。
仕事のプレッシャーから解放され、頭のモヤモヤが晴れて、狭窄していた視野が開けたのか。
一瞬で晴れた頭のモヤモヤは、転職活動が終わり就職するとともに頭に戻ってきた。
しばらくは頭のモヤモヤが晴れる瞬間が訪れることはなさそうだなんて、悲しい現実を目の当たりにする。
仕事を辞める。お金に囚われない生活なんて今の時点では到底考えられない。貧すれば鈍する?貧すれば鈍するし、鈍しても貧するだろう。すでに私は頭のモヤモヤにより、鈍しているのは間違いなさそうだ。仕事に縛られて過ごす私は、世界がいつも曇って見えている。
先日、高齢の親に高額なスマホを売りつけられたというニュースを見た。その親は、数年前から認知症の症状が出始め、スマホを売りつけられる1ヶ月前にはアルツハイマー型認知症の診断を受けていたという。
お店は「高齢者に、使い放題プランと高額なバッテリーをつけないと詰められる」という状況だったようだ。
とてもではないが他人事とは思えない。これはいつか自分におとずれる未来だと予見できる。
これから先何十年も頭のモヤモヤを抱えた私は、正しい判断ができず、高額な何かを契約してしまうかもしれない。
それは現時点で頭がモヤモヤしている私だけではなく、私の親も対象になり得る。
生きるためにやってるわけだ。契約をしてお金を稼ぎ、毎日を生きるために不要な契約を押し付ける。
毎日をこんな気持ちで過ごす販売員も辛いだろう。ただどこかでこの生活はやめないといけない。