父親の発言が気がかりで仕方がない。それが命取りになるのではないかと。
父は60代も後半である。僕の中には存在しない差別意識やスタイルをいくつも抱えている。歳とってアンテナはすっかり錆び、周りに甘える様になった。「老いて間違うようになったが、常日頃から他人に良くしてきた。だから周りが教えてくれるし正しく導かれるだろう」といった調子。そして父の情報源はiPadで唯一使えるYouTubeと、茶の間のTVだけだ。父は狭い世界で自分の答えを出してしまった。
これはまずい。生死に関わるかもしれない。直感的にそう思った。俺か?俺が守ってあげる番なのか。絶対に死なせたくないが気が重い。大の大人の思想を否定などしたくないと言うのが正直なところ。めんどくさー。陰謀論は昔から嫌いで心配していなかったが、コレもあやしい
唯一の救いは徹底的に自粛している点。自律することで精神的に安定しているわけだ。人様に迷惑かける事を極端に嫌う、不勉強な批判者となってしまった。が、その事は許そうと思う。そう思っていた最中だった。
え?ワクチン打たないの?
世界で人死にまくってるよ、思ったよりも多いよ
テレビオンリーの高齢者が何も知らないのは仕方ないじゃん。バカにしても仕方ないよ。誰かのせいにしても仕方ないよ、人は感情優先で動くバカな生き物じゃん。ワクチンを打たないことは社会悪と見られるかもしれないよ。人様に迷惑かけるよ
体を思いやり、一つ一つまじめに意見を言ったが、心に響いた手応えがない。
オリンピックに関しては僕の持ち得ない特別な熱を持っているようだ。医療従事者が手一杯だと言う事はなぜか楽観
こっちも父の組み上げたロジックを理解するのに必死だ。ロジックの終端は全て「俺は人一倍自粛していて人にはうつさない。うつしていない以上誰にも後ろ指さされない」なのだ。
オリンピックや経済を回すことと、抜け駆けして営業している店舗、感染した人をこき下ろすことが父の中で両立できるのは「俺はちゃんとしてる」から。それで良いのだろうか。
もし、その辺のどーしようもないジジイの一人としてあっさり死んだとしたら、なんとも無念だし失望すると思う。
「おじいちゃんはね、君たちがまだ小さい時に死んじゃったんだよ(歳とって我儘になったから死んだんだよ)覚えてないか〜」という未来がチラつく