2020-10-27

メートルくらい距離感が狂うメガネ比喩

 生まれつき五メートルくらい距離感が狂うメガネ比喩)を掛けて生まれてきたとしたら、そしてそのメガネが仮に誰の目にも見えないとしたら、そのメガネ存在に気付くのはいつになるのだろう。見えないメガネってことだから、その存在には中々誰も気付けない。自分自身さえも。

 でも多分生きてると何となく自分見方他人見方ちょっとちがくね? っていうことに気付き始めるもんで、「あれ? 私の距離感メートルくらいズレてね?」ということに最終的にはなる気がする。勿論全ての人が正確に物事認知できるわけじゃないから、本当は五メートルズレてるのに「あれ? 私の距離感メートルくらいズレてね?」とか、「二メートルくらい(ry」みたいに、その「ズレ」に対する目算というものも人それぞれちょっとズレてたりするわけなんだけど、ともかく、恐らく長いこと生きてたら大なり小なり自分距離感がズレてるっていうことには気が付き始めると思う。


 いや勿論現実にそういうメガネはないし、そもそも「五メートルのズレ」って何を基準にして五メートルよ? みたいな意見存在しているのも分かる。

 でも、本当に俺たちが警戒しなければならないのは俺たちは皆多かれ少なかれ実際にそういうズレたメガネを掛けて生まれてくるということで、何ならそのメガネ場合よっちゃ百メートルくらい狂ってるってことなんです。そして、俺達はそういうメガネのズレについてずっと、人生を通じて考え続けなきゃいけない。

「いやいや! そんな眼鏡ないし! っつーか五メートルだか百メートルだかって何を基準に決めてんの! 人それぞれの距離感はあるよ」とか言ってる人間を片っ端からゴミ箱に入れて封印していきたい。いや、勿論さっきみたいな「いやいや!」ってな発言にも一理や二理以上に真っ当な部分はあるんだろうし、少なくとも、「『ズレ』っていう観念は何らかの『正しい基準』の存在を基に初めて成り立つものであり、そういう基準実在性の根拠なしに『ズレ』を主張するのはそれこそ『ズレ』てる」、ってな感じでその意見論理的正当性があるのも十全に理解できるんだけどね。そこに確かにズレはない。

 でもね、そんな風に「いやいや!」って大手を振って発言できるあなたと私はズレてるよね。ってなことを思うわけです。あなたのズレと私のズレはあるよね、と。お前のズレと私のズレはそれぞれの文脈しか語ることのできない深淵ですよね、と。どんだけ人が他人からズレてて、そしてどんだけ自分が奇妙なメガネを掛けて生まれてきたかってことを、本当にきちんと測定する基準というもの基本的存在していないし、存在していないものを一々考えて勝手に悩む人間に対して、わざわざ「気にする必要ないって!」と声を掛けてくれるだけその人は善良なのかもしれない。あるいは、そもそもその人だって同じようなズレを許容しようとしているか、そうでなくてもどうにかズレと付き合っていこうと一生懸命努力しているのかもしれない。でもね、お前の言ってることはおかしいんだよ。基準は本当には存在していないかもしれない。どこにも「ズレ」と言える概念なんて実在していないかもしれない。でもね、「なんかズレてんな」って気持ちは確実に存在しているんだね。いや、その気持さえ実はズレてんのかもしれないけれど、まるでデカルト自己反駁みたいに、「『ズレ』てると感じていること事態が、そもそも『ズレ』てる。」のだとすれば、いずれにせよそこにはズレってもの存在しているんだね。存在しないズレを存在しない部分に見出している時点でズレてんだそれは。その存在しないズレみたいな一種宗教的かつ狂信的な観念を中心にしか人は物事を考えることはできないし今なお人はズレ続けていく。


 言いたいことがズレました。僕が言いたいことはね、

 皆多かれ少なかれズレのあるメガネを掛けて生きてるってことです

 皆さんズレについて日々考えながら生きてますか。

 自分がどれくらいズレてるか、そして仮にズレてたら、どうそれを修正すればいいのかについて考えていますか。五メートル離れてるな、と思ったらむしろメートル歩み寄らなきゃいけないということ。五メートル近いな、と思ったら、五メートル離れなければならないということ。あるいはその逆に、五メートル離れてるな、と思ったらむしろメートル離れなけれなきゃいけないということ。五メートル近いな、と思ったら、五メートル近寄らなければならないということ。ゴミ箱に入れるぞ貴様ら。

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