というか、そもそも俺が質問したのはシマウマ先生の教育スタイルについてではない。
生徒が自分の意図を理解していないと嘆く割に、あっちも生徒を理解できていないじゃないか。
「先生、代数学の意義についても結構ですが、それで丸印をつけてくれるテストを俺はやっていません」
俺は彼のコンテクストを真似つつ、改めて本題に対する答えを要求した。
「計算式だけ書いてテストで100点取れるならば、解答用紙なんて資源の無駄でしょう。先生を環境主義者だと思ったことはありませんが、少なくとも浪費家ではない。そう思いたいです」
この意趣返しは予想以上に効いたようで、シマウマ先生は得意の言い回しを介さず答えた。
「あの時のマスダには覇気があった。明らかに答えられる自信に満ちて、教師を出し抜こうという強かさも垣間見えた。私の授業はやる気がない生徒に釘を刺し、学ぼうとする姿勢と考える力を研ぎ澄まさせる。その必要がない生徒に、わざわざ労力を課さない」
彼の挙げた理由は実際のところ誤解で、俺にはそんな気概も意図もなかったのだが、重要なのは“彼にはそう見えた”という点だ。
行動の模倣に意識が向きすぎて、俺はあの時あったような無気力さ、倦怠感まで再現できていなかった。
それが周りにも何となく伝わっていたんだ。
「あと……」
とどのつまり、後付けでそれっぽいことを言ってはきたが、実際は大した理由がないってことらしい。
尋ねた際の過敏な反応にも納得がいく。
回りくどさを好む彼からすれば、大した理由もない選択に答えを求められるのは煩わしかったのだろう。
しかし、そんな単純な理由にこそ、根源的な手がかりは隠されている。
「昨日、昨日か……なるほど!」
この検証で見落としていた要素も、気づいてみれば単純だ。
俺は昨日の出来事を再現することにばかり固執していたが、一昨日のことを、ひいては過去の出来事を過小評価していた。
こうなってくると、より徹底して遡る必要がでてくる。
俺は少し高揚した。
考えなければいけないことは増えたが、分からないままじゃなかったからだ。
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久しぶりに見たわ
もうみんなつまんないって思ってるしやめよ?
昔にくらべてけっこう読みやすくなってない?
ごめんつまんなかった もうやめよ?
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