2020-09-22

[] #88-5「マスダの法則

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今朝から俺の身に降りかかっている謎の不調、不幸。

それらに対する漠然とした気がかりは、放課後になっても俺の中で燻り続けている。

原因がハッキリしていないからだ。

なので何が問題かも、何をどうすればいいのかも分からなかった。

逆に言えば、原因さえ判明すれば、解消方法も自ずと見えてくるってわけだ。

そして、その解法は「法則」にある。

から俺は、この出来事に何らかの法則を見つけなければならない。

決して簡単なことではないし、そもそも可能なことかすら怪しいだろう。

それでも、この得も言われぬ“何か”を、得も言える“何か”にするんだ。

俺は決心を鈍らせないよう、そそくさと家路についた。

…………

当たり前のことだけど、法則というものには法則性がある。

特定の要素で構成されていて、それを一定の条件で行ったのなら同じ現象にならないといけない。

から法則を見つけ出すには、その「特定の要素」と「一定の条件」を探し出す必要があるんだ。

翌日、俺は起床すると、すぐさま昨日の出来事をシミュレーションしてみた。

「思い立ったが吉日」ってやつだ。

まあ、俺のやってることは吉日というよりは凶日の再現といえるが、大事なのはそこじゃない。

これは、その吉凶にどれだけの意味を持たせられるかという検証なんだ。

「ごー、ろく、しち、はち……っと、次は弓引きサイドランジだ」

俺は今朝の行動を同じように再現する。

ストレッチ洗顔歯磨き

意外なところに要因があるかもしれないので、関係いであろう行動も出来る限り模倣した。

「母さん、この歯磨き粉もうすぐ無くなりそうだ」

「ええっ? 昨日、変えたばかりなのに」

「うん、キトゥンの餌はもうやったよ」

「今の流れで、なぜその話にシフトするの」

家族に奇異の目で見られつつも、セリフも出来る限り同じにした。

噛み合わないところが出てくるかもしれないが、それで結果に違いがあるならば要素や条件を絞ることに繋がる。

こうして、俺は自宅での行動をほぼほぼ再現した。

残りはあの、十二星座占いだけだ。

俺はゆっくりと立ち上がると、テレビリモコンを手に取る。

昨日と同じく、自分運勢確認するまでもなく画面を消した。

もちろんチャンネル10に、音量を10にはしていない。

さて、これが吉と出るか、凶と出るか。

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