嫁に言わせれば、下手くそなギロとか、なにか石のようなものでコンクリを削るような音だそうだ。
歯ぎしりを撮った動画を見せてもらったけど、たぶんかなりひどい。
中学生の頃に、よい歯のコンクールで最優秀賞もらう程度には歯並びもいい。
それなのにこの歯ぎしり。
朝起きるとだいたい頭痛がするし、顎の関節あたりが熱を持ってて、昼くらいまでこれが続く。
おかげで顎関節周りの筋肉がずいぶん発達して顔のシルエットがデカくなった。
エラがはってるなあ、とは思ってたけど、たぶん筋肉。
10年位前に、どうにかしなくちゃってことで歯医者に言ってマウスピースを作ってもらった。
これはだめだった。
歯にジャストフィットこそするのだけれど、寝ているとどうにも歯がうずくようで心地が悪い。
数日もしないうちに引き出しの奥に追いやられた。
歯ぎしりの原因をネットで調べても、ストレスだの寝る前の飲酒がいけないだの、そんな当たり障りのないことしか書いていない。
断酒はまったくもって歯ぎしりの根本的改善にはならなかったが、数日続けた後の朝起きたときの体の軽さは大きなメリットだった。これはまた別に書いてみようと思う。
そのうち、検索画面は広告記事やうさんくさいまとめページに汚染され、歯ぎしりについて調べることすらやめてしまった。
気がつくと右の犬歯の先が平らになっていた。
今思えば、ここでさっさと本腰を入れて対策をするべきだった。当時は、なにか噛み合わせが悪くて欠けちゃったのかな、なんて思ってた。
年月が過ぎ、次に気づいたときには左前歯の先が削れて穴が空いていた。
舌でなぞると、舌の味蕾が歯先の穴にひっかかる。
この時、歯ぎしりによって自分の歯が減り、歯に影響しはじめていることにようやく気がついた。
お湯で温めて歯型を取る半透明の安いやつだ。なかなかうまくできなくて、何度も作り直した。
慣れるまで苦労した。とにかくすごい異物感だ。
寝にくいのもそうだが、些細な突起が、寝ている間に口腔内に跡を作りそこから口内炎になるということがたびたび起こるのである。
ハサミで小さく切ってみたりもしたが、切り口の角が立つとやっぱりそこから口内炎になった。ぴえん。
数ヶ月かけてトライアンドエラーを繰り返したマウスピースだが、4号くらいになると、どういうマウスピースが自分にあっているのかがだんだんわかってきた。
どうも歯型を取るときに無意識に上の歯と下の歯をくっつけるように噛み合わせていた。
これではだめだ。眠っている時、人はかなり下顎を後ろにひっこめた状態になる。
4号は今も使っている。非常に出来がいいので見せたいくらいだ。
さらに、いつの間にか、寝落ちする瞬間にマウスピースをハメるなどの小技も身につけていた。
ようやくマウスピースを健やかな睡眠に取り入れることができるようになったのだ。努力、勝利。
ちなみにマウスピースをつけると唇は閉まらない。よって、うつ伏せになって寝るともれなくよだれが垂れる。仰向けで寝るように心がけている。
大げさかもしれないが、納得の一品を手に入れたことは大きな自信になった。
そして、継続してみることでマウスピースのメリットを実感し始めた。
朝の頭痛がなくなったのだ。もちろん顎関節の熱もなくなった。
これ以上歯が減らないようにと始めたマウスピースは、4号は、睡眠には欠かせないものになっていた。
半年続けると、副産物的なメリットも見つけた。顎が細くなったのだ。
慢性的に炎症をおこしてこわばっていた顎関節周りの筋肉もすっかり鎮まり、あるべき居場所に落ち着いた。
ここ最近、久しぶりにあった人からは「痩せた?」と聞かれる。どうかな、と返す。
顔のシルエットは自分でもわかるくらい変わっている。
ちなみに1kgも痩せてない。
今週末、歯医者に行く。欠けた歯を埋めてもらうために。
ストレスについての記述ないのが怖い、 ヒューズ切れたから単純にヒューズ取り替えて終わりの人みたい
嫁よく耐えてたな 歯ぎしりは完全に加害者と言えるほど騒音だ