私のゴールデンウィークは平日、祭日を問わず仕事漬けの毎日で終わるはずでした。
しかしグーグルカレンダーが予定で埋まるのを見た上司が、休みがないんじゃないの?と心配するので、内心で毒を吐きながら定時退社日の水曜日の一日だけ夜に時間を作りました。
さて、どうしようか。
その時脳裏を掠めたのは、前の会社の同僚に連絡を取ろうという、今の会社への半ば当てつけのような選択肢でした。
転職してから約二年、在職中でも勤怠連絡以外ほとんど連絡したこともない相手に履歴でたまたま残っていたLINE送って大丈夫か?迷惑ではないのか?
迷う気持ちを振り切って誘いの言葉を送るとすぐに既読の文字がつき、快い返事が返ってきました。そして前職の同僚と有楽町で落ち合うことになったのです。
お酒の力を借りることもなく、二年の間の空いた、ぎこちなさはすぐになくなりました。
かつてお世話になった上司が近々昇進されること、中々髪が生え揃わない生まれたてのお子様の笑顔、聖地巡礼でほったらかし温泉まで歩くのが作中同様大変だったこと…などなど、
話しても話しても話題が尽きるところを知りません。仕事に関する愚痴は最後まで不思議と話にのぼりませんでした。
お互い別れて帰った後に同僚からLINEが入ってました。「本日は誘ってくれてありがとう。あの頃、定時後に二人で駄弁ってた時間も楽しかったですね。」
聞いた瞬間、私の中であの会社であの職場で過ごした四年間がすっと走馬灯のように流れるのを感じました。
残念ながら、仕事のことではありません。定時後のアフターアワーズが自分の全てでした。フロアの皆が退社してから深夜行われるリリース作業の時間までの、ちょっとした待ち時間の間に、二人しかオフィスにいなかったからできた、他愛もない雑談で盛り上がっていたあの時間。今更ながら、それは前の会社に出戻りしても今の会社でも、もう返ってこないものだと気付かされた次第です。