ユーザーが自由に書き加えることが可能なパブリックドメインのシェアードワールドの脆弱性について。
○シェアードワールドとは
シェアードワールドというのは、複数の作品や作者で、物語の舞台となる世界や設定を共有している設定群のようなもの。
スターウォーズシリーズやクトゥルフ神話など、さまざまな作品で世界設定の共有が行われている。
その中でも(しばしば許可された範囲内で)誰でも設定群を創作物に利用することが出来る、パブリックドメイン、クリエイティブコモンズのシェアードワールドが存在する。
さらに、私たちでもいちユーザーとしてその設定群に書き加え更新する事の出来るものも存在する。
インターネット上でwikiという形で投稿や編集することが出来るシェアードワールドは「ゆらぎの神話」や、クリエイティブコモンズ表示のなされている「SCP財団」と呼ばれているものなどがある。これを記事内で"フリーの"シェアードワールドと呼び、その脆弱性について思うところを語ろうと思う。
ひとまとめにしてしまったが、それぞれを用いた創作物に対する細かな扱いなどは異なるので、それぞれのライセンスガイドや利用上の注意などを読んでほしい。
○本題
著作権を放棄していない作品の設定が、故意にしろそうでないにしろ匿名のユーザーによりフリーのシェアードワールドに書き足されその一部となると、それを元に創作された作品は実質著作権の残る著作物の無許可の二次創作になり、権利を侵害する恐れがあるのではないだろうか。
既にSCPでは、他者の著作物の写真を作品ページに流用しているコンテンツがある。ライセンスガイドで該当のページに関する作品を販売しないようにと呼びかけている…
自由に参加でき投稿することが出来る性質上、その書き加えられた内容が他の作品の権利を侵害する内容でないかどうか、誰かが管理する必要があると思う。
但し、この世の全ての作品の内容を把握し権利を侵害していないか検証するのは実質不可能であるとも思う。
匿名性があり、侵害した時に責任の所在が明確にされない以上、ユーザー参加型のシェアードワールドに基づいた作品は完全に他者の著作権を侵害しないと言い切るのは難しいかもしれない。
ただ設定の盗用や無意識の近似はシェアードワールドでない一次創作にも言える問題なので、どこまで気にしてどこまで気にしなくて良いかの線引きが難しい。
それ以前に、どこまでが設定の盗用なのか、それを判断するのは誰でどのような基準で行われるのかというところなのかと考えると、非常に面倒臭い。もう別に考えなくて良いのではと思ってしまう。
ただ、悪意を持って(それがシェアードワールドに対してなのか、盗用される元の作品に対してなのかはわからないが)盗用される場合、匿名性が仇になる可能性は高い。
シェアードワールドに関わる人は、その形態が脆弱であることを認識して対応していかなければならないのだろうなと思う。
他人事のように言っているように聞こえると思うが、私も今まさにシェアードワールドに参加しているので、難しいなあと思いつつ、覚え書きのように書いた。