イタリアで大地震がおこり、多くの建物が倒壊、なくなった方も多いようだ。
海外で地震があるたびにネットでよく見るのは、日本の耐震技術はすごいという書き込みである。
一方で日本における建築という職業のイメージはどうであろうか。
昨今テレビを付ければ豊洲市場のことばかりであるが、反対派の意見をざっとまとめれば、
莫大な税金を投入しておきながら、ゼネコンとか議員が大半を懐に入れてるんだろう、って程度のものだ。
違うという人もあるかもしれないが、私が見たところ99%は要はそういうことだ。
何が言いたいかというと、建築というと何か汚い業界というイメージをもってる人が大半でなかろうか。
まぁ、いろいろあろうが、あまりいいイメージをもってる人はないだろう。
一方でよく知りもせず褒め、一方でよく知りもせず貶す。
この人達の頭のなかで建築業界は一体どうなっているのか甚だ疑問である。
建築業界に身を置いている側からすれば、事実と違うことがまかり通っている。
だからこそはっきり言おう。
震度7が来ても日本の建物は潰れないと思っている人がいたら、その幻想は捨てなさい。
これは手抜き工事した建物がそうだとか、設計ミスした建物がそうだとかいうのではない。
日本の建物は設計からして震度7に耐えるようにはできていない。
大地震が来たときは、想定通りの壊れ方をするように決めた法律なのだ。
すなわち建物は壊れてもいいから、最低限中の人の命は守る。これが大原則である。
阪神・淡路大震災を経験した世代の人間ならば、中間層がまるごとぺっちゃんこになった映像は見たことがあるはずだ。
ああいう壊れ方がすれば、確実に中の人の人命は損なわれるだろう。
あれは柱が壊れているから上の層が支えられずああいう壊れ方をしたのである。
だからああいう壊れ方はしないよう、柱は健全であるよう設計している。
逆に言えば壁に穴が開こうが、梁にヒビが入ろうが、全然OKなのだ。
「(人命を損なうような壊れ方では)壊れません」と答えるのだ。
じゃあなんで建築基準法はそんな決め方をしたのか、大地震が来ても無損傷になるように設計すべきなのではと思う人もあるかもしれない。
はっきり言えば、建築基準法は貧乏人でも家が持つことができるように定めたものなのだ。
あまりにも安全性を追求すれば家は建てることができないが、弱すぎる建物を建てれば倒壊したときに周囲の建物にも被害を及ぼすだろうし、
商業施設などならそこに来ていた人の人命もそこなうことになる。