2016-08-19

駄目な法学部生の書いたラブレター

ハナコ先輩へ

第一 僕が試験でA評価を得たことについて

1.先輩のご指導のお陰で、僕は試験で初めてA評価を得ることができた。僕は心から先輩に感謝している。

2.ここで、「感謝」の定義問題となる。

3(1)思うに、「感謝」とは、何らかのプラス行為をされた者が、行為者に対して抱く、好意に準じた自然的感情であると解する説がある(計算価値論)。一方、一切の自然的感情否定し、損得によって対人関係をみる説(感情価値論)があるが、いずれの説が適切か。

 (2)本来感情とは本人の意思とは関係なく発生するものである。そして、愛とは与えるものであり、見返りを求めないものであるマザーテレサに同旨)。

 (3)これらの点から考慮すれば、一切の自然的感情否定する感情価値論は適切な考え方ではなく、計算価値論を支持すべきである

4.これを本件についてみると、僕は先輩から法律論文の書き方を教わるというプラス行為をされており、先輩に対して好意に準じた自然的感情を有している。

5.したがって、僕は先輩に感謝しているということができる。

第二 僕が先輩を好きになったことについて

1.次に、僕が先輩に抱いてしまった恋心について検討する。恋心は恋愛の前提であるが、いかなる状況で恋愛が成立するか。性別および社会通念、ならびに感情相互性問題となる。

2(1)思うに、恋心ないし恋愛感情とは、他人に対して抱く特別かつ唯一無二の感情をいう。ここで、本感情が異性に対してのみ成立し得るかが問題となる。

 (2)この点、恋愛は異性間においてのみ成立するとする説がある(同性愛否定説)。しかし、この説は同性愛歴史および生得可能性をも排除するものであり、支持できない。

 (3)もっとも、先輩は女性であり、僕は男性であることから、この点は問題とならない。

3(1)それでは、本件恋愛社会通念上認められるか。

 (2)思うに、美味しいパスタを作った相手一目惚れすることは、社会通念上充分にあり得ることである。但し、家庭的な女がタイプの男でなければならない(湘南乃風に同旨)。

 (3)この点について本件をみると、先輩は僕に美味しいパスタを作ってくれた(先輩の家H28.5.15)。そして、僕は家庭的な女がタイプである

 (4)したがって、本件恋愛社会通念上認められるものと解する。

4.(1)それでは、恋愛一方的感情のみで成立するか。

 (2)この点、恋愛相互に思いを寄せることによって成立するものと解する。なぜなら、上述のごとく恋愛感情とは唯一無二の感情であるところ、同一の感情相互に持っていなければ、その唯一性が成立しないかである。ここで、先輩が僕をどう思っているのかが問題となる。

 (ア)まず、先輩が僕に対して恋愛感情を抱いている場合はどうか。先輩が僕に対して恋愛感情を抱いている場合には、本件恋愛問題なく成立する。

 (イ)次に、先輩が僕に対して恋愛感情を抱いていない場合はどうか。この場合、本件恋愛は成立せず、僕の片思いにとどまるものと解する。

 (3)思うに、相手自分をどう思っているのかは、平均的な精神能力を有する一般人基準として考えるべきである。すなわち、①頼み事の承諾の有無、②ボディタッチの有無、③自宅に上げてくれた回数、④恋人の有無、等を総合考慮して決する。

 (4)以上を本件についてみると、先輩は僕の指導を快諾してくれている(①)。そして、指導中に複数回のボディタッチがあった(②)。また、先輩は自宅に上げてくれた(③)のみならず、美味しいパスタを作ってくれた(湘南乃風に同旨)。さらに、先輩には彼氏がいない(④)。

 (5)したがって、本件恋愛はほぼ成立しているものと解する。

第三 告白処理

よって、先輩は僕と付き合うべきである

以上

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