お兄ちゃんを殺した。
大好きなお兄ちゃんだった。ヒーローだった。
私が中学生になった時、お兄ちゃんは高校へ行かなくなった。鬱だった。
「あいつの兄貴、鬱なんだって。あいつもリスカしてるらしいよ」
から「お前が生まれなければ俺はこんなにならなかった」と言われた。
もう我慢の限界だった。殺そうと思った。
夜中、包丁を持った。意外と冷静だった。
寝ているお兄ちゃんの背中を刺そうとした。
「何やってんの」
母に見つかった。
その瞬間、泣き崩れた。
そんな事が何度もあった。
「お前が俺から離れるだなんて許さない」お兄ちゃんにそう言われた。
泣く泣く行きたくも無い地元の大学に通った。お兄ちゃんが行きたくても行けなかった大学にだ。妹に学歴コンプこじらせてた。気持ちわりーなと思った。
人生めちゃくちゃにされた。
お兄ちゃんに復讐しようと思った。
「死ねばいい」なんて言わない。
「鬱、辛いよね。どうして自分だけがこんな思いしなきゃいけないんだろうね」優しい言葉をかけ続けた。
お兄ちゃんは引きこもったままニートになった。
「どうしたの?つらいの?何があったの?」甲斐甲斐しく世話をした。
ずぶずぶに甘やかした。
鬱が少し良くなり始めた春先。
お兄ちゃんにある言葉を掛けた。
2日後、お兄ちゃんは自殺をした。
明確な殺意があった。
私はお兄ちゃんを殺した。
「どうして」と泣きながら遺体をゆすった。
狂ったように泣きながらも母や父や親戚の視線を気にしていた。
「お兄ちゃんを亡くしてかわいそうに」と言われた。
私が殺したのは誰にもバレていなかった。
私が直接手を下した訳では無い。
でも、私が殺した。人殺しだ。
よく鬱病患者の家族のサポートが必要とか言われるけどそんなものクソくらえ。
逃げろ、絶対に逃げろ。
配偶者なら離婚しろ、親ならなんとしても別で暮らせ。できれば遠いところで。
愛なんかで乗り切れない。
冷たい?そんなの知るかバカ。
人生狂わされるぞ。こっちも病気になるぞ。被害者した奴らに搾取されるぞ。
なにが「ツレがうつになりまして」だ。
やるじゃない!(ニッコリ)