第1回、第2回の電王戦は、始まる前からとてもワクワクして待ちきれなかった。
こう感じるのは、僕だけだろうか?
第1回、第2回はコンピュータのプロに対する強さが未知数だった。
短時間のネット将棋では人類を圧倒していても、プロが本気になれば違うとか、長時間になれば人間が有利だとかいう意見が多かった。
対するソフト開発者側も、何とか癖を読まれないように貸し出しを拒否したり、定跡を本番で指定したりして勝負に徹していた。
第4局で塚田九段が根性の粘りで引き分けに持ち込んだ後の、三浦八段対GPS将棋戦が、今から思うと電王戦のピークだった。
GPS将棋は600台程のPCでクラスタを組み、全力で棋士に挑戦したのは、相手の強さを認めていたからだろう。
三浦八段は現役A級棋士でタイトル獲得経験もあり、トップ棋士としての誇りとプライドがかかっているのが十分に伝わってきた。
三浦八段は破れはしたが、刀折れ矢尽きるまで戦ったその姿には感動し、1秒間に数億手読むクラスタと互角に渡り合える人間の頭脳に凄さを感じた。
昔の弱かったコンピュータ将棋からすれば、技術の進歩も存分に感じられた。
第3回は、ハードの統一、事前の貸し出し、ソフトの修正禁止が義務付けられた。
前年までのガチンコ勝負感は無くなったが、棋士側は期待の若手、往年のベテラン、将棋界の人気者、そして元タイトルホルダーのA級棋士と、前年以上に個性豊かで強いメンバーだった。
両国国技館や小田原城を対局場にするという試みにも注目が集まった。
電王手くんが機械らしく駒を持つ姿は、未来を感じさせつつも微笑ましかった。
後味の悪い番外戦は起きてしまったが、勝負に拘っていた事の裏返しだとも思えたし、両者の文化の違いが背景にあったとも思った。
唯一の勝利者の豊島七段の練習量に驚き、ponanzaの筋が悪くも巧みな中盤に感心した電王戦だった。
第4回は、ハードの統一、事前の貸し出し、ソフトの修正禁止のルールは引き継がれ、出場棋士は公式戦で勝率の若手で固められた。
ここまで、棋士が頑張りを見せて2連勝。
斎藤五段、永瀬六段の努力と強さは伝わるが、どうも阿部四段や豊島七段が勝った時の様な気持ちは湧いてこない。
以前の電王戦がスポーツだとすれば、今回は原作を知っている映画を見ているような、棋士が勝つ姿を応援しましょうという主催者が用意した舞台を見ているように感じる。
あれだけ驚きと興奮を与えてくれた電王戦は、きっともう見れないのだろう。
そもそも今回でファイナルなんだろ?