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2022-02-28

TBSエストニアポリコレと俺

TBS

TBS燃えている。4日前の2月24日駐日エストニア大使館TBS NEWSツイートに「TBSさん,またですか..いいかげんエストニアラトビアリトアニアを“旧ソビエトの国“と呼ぶのはやめてもらえます歴史的にも法律的にも不正確な呼び方です。バルト諸国ソビエト継承国家ではないです。2月24日エストニア104回目の独立記念日本日から、もうこの呼び方はやめていただきたいです」とリプライたからだ。

https://twitter.com/estembassyjp/status/1496798387856834561

エストニアと言えば把瑠都仮想通貨しか知らない俺も、うっかりエストニアを「旧ソ連」と呼んで国際問題召喚しかねない。保身のために「エストニア旧ソ連じゃない問題」について検索してみた。

エストニア

「まとも検索」で「エストニア 旧ソ連」を検索すると、政府国立機関のページが見つかる。バルト三国は「旧ソ連」と呼ばれているのか?

外務省 わかる!国際情勢(2011年) 「現在エストニアは,バルト三国もっと経済状況が良好で, 2011年1月旧ソ連の国として初めてユーロを導入しました。」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol80/index.html

国立国会図書館 リサーチナビ(2022年2月更新)「旧ソビエト連邦構成国(ロシアエストニアラトビアリトアニア以下略)の鉄道地図掲載されています

https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-371.php

日本政府公認旧ソ連である専門家が書いた本なら如何と志摩園子氏の「物語バルト三国歴史」(2004年)を手に取れば、「旧ソ連邦に属していた三国は、新たな国家建設に当たって(以下略)」と開幕即旧ソ連判定である

では逆に何故、「旧ソ連」と呼ぶのが「不正確」なのか?この本に沿って俺なりにまとめると、今のエストニアにあたる地域は、18世紀くらいかロシア帝国に支配されていたのだが、ロシア革命後の1918年独立宣言した(※国際的承認は1920~21年)。しか1939年ナチスソ連秘密協定勝手ソ連勢力圏と決められてしまい、1940年6月にはソ連軍に占領された。そして逆らう奴らは逮捕追放され、占領下で選挙実施して人民議会を開き、この議会ソ連編入を決めた、ということらしい。要はエストニアソ連軍に占領されながら「ソ連に加盟します」と言わされたわけで、ぐうの音も出ない茶番であるリトアニアラトビアも同様の茶番ソ連に「編入」している。

エストニアに言わせれば、こんなふざけた経緯の「ソ連編入」が無効違法なのは明々白々、俺たちバルト三国は半世紀間「占領」されていただけなので旧ソ連呼びは「歴史的にも法律的にも不正確な呼び方です。バルト諸国ソビエト継承国家ではないです。」ってツイートにつながるんだろう。

けど実際1991年までは政治行政経済ソ連の一部として回ってたんで、日本外務省専門家が「旧ソ連」と呼ぶのも当然と言えば当然。無茶苦茶なやり口で併合されたとはいえ、実際ソ連だったんだもん。

ポリコレ

なぜ駐日エストニア大使館は「行き過ぎ」とまで思えるほどブチギレたのか?「アジア経済研究所」というJETRO付属研究所が出している雑誌アジア経済」に、ロシア政治研究者バルト諸国政治研究者中央アジア政治研究者座談会2021年7月30日収録)が載っている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajiakeizai/62/4/62_79/_html/-char/ja

バルト諸国政治研究者中井遼氏が「旧ソ連問題を語っている:

中井「それと,最近やりにくいなと思うことがあって,「旧ソ連」というとすごく怒る方がいるんです。日本だと目立たちませんが,英語圏だと議員外務省メディアが一緒にキャンペーンをはって,former Soviet Union とか ex-Soviet states といった呼称を使った記事表現に対してものすごい勢いで抗議運動をやるんです。まだアカデミックなところではそこまで来ていませんけど,私ですら多少の圧力は感じますし,現地の研究者と話していると大変そうだなと思います。」

岡(※中央アジア政治研究者)「なるほど,これは地域名称の難しさですね。」

中井バルト 3 国のなかで,とくにエストニアラトビアは,そもそも国家理念としてソ連だったことはないという建前なんですよ。」

要はエストニア大使館の怒りのツイートは、エストニア外務省の「キャンペーン」の日本編なのであるこれはまさに政治的に正しいか否かという問題——いわゆる「ポリコレ」なのでは?と雑に納得すると専門家に叱られるだろうか。「歴史戦」チックな問題なのかもしれない。

どっちにしても、駐日エストニア大使館の言い分はあまりにも強気だ。「エストニアソ連だったことはない」という歴史認識は別に世界アカデミック常識って訳でもなさそうなのに、「旧ソ連」呼びを「不快からヤメテ」ではなく「歴史的にも法律的にも不正確」とまで断じているんだからグルジアジョージアになったのとは根本的に質が違う要求だし、「呼ばれたくない呼び方はやめようね!」程度の問題だと考えてるなら、エストニア歴史認識を実のところ解っていないままってことになる。

俺としては、日本外務省日本バルト三国専門家バルト三国を「旧ソ連」と呼んでいるわけで、TBSがここまで炎上したのは可哀想な気がする。エストニア政府歴史認識を尊重すれば「旧ソ連」と呼ばないのが親切かつポリティカリーにコレクトだけど、無茶苦茶併合とはいえバルト三国旧ソ連の一部だったことは確かだし、オウムの件のように明らかにTBSが悪い事件まで持ち出してぶっ叩くほどのことかというと疑問。けど炎上のおかげで俺のような無関心人(むかんしんちゅ)までバルト三国歴史にちょっぴり詳しくなったんだし、エストニア外務省の「旧ソ連と呼ぶな」キャンペーンは今のところ成功していそうだ。

それにエストニアキャンペーンを抜きにしても、「旧ソ連」という枕詞はそろそろお役御免かも。TBSは「バルト三国」の知名度が低いと感じて「旧ソ連」を加えたんだろうが、専門家をもってして今や「普通民主主義経済的に安定した国」(座談会中井氏)と言わしめる国々をいつまでも旧ソ連」と呼び続けるのは、間違いじゃなくとも何か変な感じだ。

...ここまで書いてから気付いたんだが、「エストニア政治歴史認識」(著者小森宏美氏)というどうやらそのものズバリの専門書が発売されているらしい。

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/240.htm

結論、皆は把瑠都仮想通貨しか知らない増田怪文書なんかより信頼のおける専門家先生方の本を読もう!!!

 
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