増田を書き始めると、せっかく匿名日記なのに返信が気になるのは、当たり前です。
なんせ、そこらのブログより見られる回数が多いのです。
せっかくメモ程度に始めたのにもかかわらず、いつの間にか反応を求めています。
誰もそんな恥ずかしいことは口にしませんが、そうやって自分のせいで人間不信になって、はてなに来れなくなったり仕事をさぼって解雇になる給料泥棒は何十人もいます。
それでも、匿名という、同列のスタートラインを信じて四六時中日記を書く増田は、病むほどにアクセスします。
だってブコメがついてるかもしれないもん。ブコメがついたら頃合いを見計らってセルクマしたり、誤字確認します。
病むほどに訪問回数は上がります。病むほどに日記を書かないと、おもしろい奴らには太刀打ちできないのです。
東北の某校で無敵を知られたクラスの人気者も、九州で男子を蹴散らし女子人気をかっさらった彼女も、ここではただの増田。
そんなレベルは、ブクマカ御三家(誰?)のツッコミにたじたじになるのです。
はてブから出てきた増田は、匿名ダイアリーというものに強い憧れを抱いていたんですね。
特にホッテントリで見る増田はとても面白くてギラギラしてて・・・
ブコメがいっぱいに乗った日記、お洒落な表現とかドラマで見るドロドロ恋愛ネタに、ただ漠然といいなぁ素敵だなぁと胸にトキメキを馳せておりました。
自信を持って投稿した長文はスルーされ、気軽な発言には罵詈雑言、適当なこと言った時に限って伸びるブコメ。
増田という街は、そういうところなんですよね。
実際、はてな匿名ダイアリーに対しても大きな憧れを抱いていました。その理由はやはり「バズったら注目されるから」というのがあったと思います
そういう理由でここにきてしまったので、憧れの理想と現実の差に髪が抜けました。
書いたからと言って自分の日記がホッテントリに入るわけでは無かったからです。
大切なのは、自分が将来何になりたいかであって、増田は通過点でしかないということを身にしみて感じています。
この年になるといろいろなものを見てきました。
キラキラしていた増田が、国家公務員試験を上位で合格し、某省で組織防衛に身も心もさいなまれたという暴露日記がスルーされる姿も。
誰もがかなわないと思った研究者が、研究に疲れ果てたタイミングで引っ掛かった男に身も心も搾取され、売春でその彼に貢ぐようになってしまったという日記が炎上したのも。
勉強ができたから、当然のように理学部物理学科に進学しあるいは司法試験に受かったのに、その後漏らした報告をした増田の姿も。
18歳の時に初投稿した増田が、そういう風にして、堕ちていく姿をたくさん見てきた。
きっと彼らも、キラキラして見えたけど、増田にいた四年間に何か病むことがあって、そうして社会に出たときに、ブコメしか追求することができなくて、不幸せになっていったんだと思う。
下には下がいる。
そして、一つの物差しで「下」を計ろうと思うと、全体として自分が如何にあればブコメをもらえたのかということが分からなくなってしまうのだと思う。
日記が面白かったがゆえに、ブコメの物差しで人生は幸せになれると思い込まされる。
そして、自分よりバズってる数多の秀才に出会ったが故に、もっと下に行きたくて投稿して、結果、はてなへの過剰適応で世の中に適応できない若者を量産する。